法定刑超過による非常上告

(平成17年12月2日最高裁)

事件番号  平成17(さ)5

 

最高裁判所の見解

東京地方裁判所は,平成17年4月26日,被告人に対する窃盗,

出入国管理及び難民認定法違反,窃盗未遂被告事件について,

第1の1ないし4として,窃盗,窃盗未遂の事実,第2として,

「被告人は,中華人民共和国の国籍を有する外国人であり,

平成16年6月30日,同国政府発行の旅券を所持し,

大阪府所在の関西国際空港に上陸し本邦に入った者であるが,

在留期間は同年9月28日までであったのに,

同日までに前記在留期間の更新又は変更を受けないで

本邦から出国せず,同年10月6日まで東京都内などに居住し,

もって,在留期間を経過して不法に本邦に残留したものである。」

旨の出入国管理及び難民認定法違反の事実を認定した上,

法令の適用として,第1の1,3,4の各所為は

刑法60条,235条に,第1の2の所為は

同法60条,243条,235条にそれぞれ該当し,

第2の所為は,行為時においては平成16年法律第73号による

改正前の出入国管理及び難民認定法70条1項5号に,

裁判時においてはその改正後の出入国管理及び

難民認定法70条1項5号に該当するが,

これは犯罪後の法令によって刑の変更があったときに当たるから,

刑法6条,10条により軽い行為時法の刑によることとし,

第2の罪について所定刑中懲役刑及び罰金刑を選択し,

以上は同法45条前段の併合罪であるから,

懲役刑については同法47条本文,10条により刑及び

犯情の最も重い第1の4の罪の刑に法定の加重をし,

罰金刑については同法48条1項により

これをその懲役刑と併科し,その刑期及び

金額の範囲内で処断すべきものとし,

その他関係法令を適用して,

「被告人を懲役3年及び罰金50万円に処する。

未決勾留日数中120日をその懲役刑に算入する。

その罰金を完納することができないときは,

金5000円を1日に換算した期間,被告人を労役場に留置する。」

との判決を言い渡し,同判決は,平成17年5月11日,確定した。

 

しかし,上記第2の罪の刑は,刑法6条,10条により,

軽い行為時法である上記改正前の出入国管理及び

難民認定法70条1項5号の刑によることとなるが,

同条項は,その刑について,

「3年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金に処し,

又はその懲役若しくは禁錮及び罰金を併科する。」と

規定していたから,原判決の罰金刑は法定刑を超過しており,

原判決は,法令に違反し,かつ,被告人のため不利益である。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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