所有者が土地及び地上建物に共同抵当権を設定した後に右建物が取り壊されて新建物が建築された場合の法定地上権の成否

(平成10年7月3日最高裁)

事件番号  平成9(オ)128

 

最高裁判所の見解

所有者が土地及び地上建物に共同抵当権を設定した後、右建物が取り壊され、

右土地上に新たに建物が建築された場合には、

新建物の所有者が土地の所有者と同一であり、かつ、

新建物が建築された時点での土地の抵当権者が新建物について

土地の抵当権と同順位の共同抵当権の設定を受けたなどの

特段の事情のない限り、新建物のために法定地上権は成立しないと

解するのが相当である(最高裁平成七年(オ)第二六一号

同九年二月一四日第三小法廷判決・民集五一巻二号三七五頁、

平成五年(オ)第二一七二号同九年六月五日第一小法廷判決・

民集五一巻五号二一一六頁参照)。

 

これを本件について見ると、上告人は、本件土地及び旧建物に

順位一番の共同抵当権の設定を受けることによって

本件土地及び旧建物の価値全体を把握していたが、

新建物に設定を受けた上告人の抵当権は、

被上告人らの根抵当権に劣後する順位三番であって、

新建物のために法定地上権が成立するとすれば、

本件土地全体の価値を把握していた

上告人の権利を害することになるから、

右の特段の事情がある場合には当たらず、

新建物のために法定地上権は成立しないというべきである。

 

そうすると、新建物に設定された抵当権によって把握される担保価値は、

法定地上権のない新建物自体の価値にすぎず、

本件土地全体の担保価値は、本件土地に設定された

抵当権によって把握されているのであるから、

本件配当において、新建物について

順位一、二番の根抵当権を有する被上告人らは、

新建物自体の価値について上告人に優先して

配当を受けることができるにすぎない。

 

したがって、これと異なる原審の判断には

民法三八八条の解釈適用を誤った違法があり、

右違法は原判決の結論に影響を及ぼすことが明らかである。

 

論旨は理由があり、原判決は破棄を免れない。

 

そして、本件については更に審理を尽くさせる必要があるから、

これを原審に差し戻すのが相当である。

 

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