スポンサードリンク

【判例】注文者が労働安全衛生法30条2項前段による指名をしなかったことと作業員の死亡事故との間の相当因果関係 (平成5年1月21日最高裁)注文者が労働安全衛生法30条2項前段による指名をしなかったことと作業員の死亡事故との間の相当因果関係

(平成5年1月21日最高裁)

事件番号  平成1(オ)745

 

最高裁判所の見解

すなわち、前示の事実関係によれば、本件事故当時、

D丸の機関室において、整備センターの作業と

Gの作業が並行して行われたのであるが、

もともとGがアンモニアガスを取り扱う作業をするときは

整備センターの作業を中断し、その作業員を船外に出すこととされていたのであり、

本件事故当日Hらが行うことを予定していた作業内容には

アンモニアガス漏出の危険性のあるものはなく、

本件事故の原因となったコンデンサーからの油抜きは、

Hらの右作業内容には含まれていなかったものである。

 

してみれば、仮に労働安全衛生法三〇条二項前段に基づき

本件指名がされたとしても、その指名された者において、

Hがその場の思い付きで予定外の危険な作業を

行うことまで予測することはできないし、

あらかじめ請負作業間の連絡調整をすることにより、

整備センターの作業とGの作業が並行して行われることを

避けることができたともいえない。

 

そして、このことは、たとえコンデンサーからの

油抜きがGの請け負った作業と関連性があるとしても同様である。

 

また、指名された者によって同条一項三号所定の

作業場所の巡視がされたとしても、右巡視は毎作業日に少なくとも

一回行うことが義務付けられているものにすぎない

(労働安全衛生規則六三七条一項)から、これにより、

その場の思い付きでされたHの行為を現認することは

ほとんど期待できないものというべきである。

 

したがって、上告人が本件指名をしなかったことと

本件事故との間に相当因果関係があるとはいえない。

 

これと異なる判断の下に原判決中被上告人らの

請求を認容すべきものとした部分には、

法令の解釈適用を誤った違法があり、

この違法は判決に影響を及ぼすことが明らかである。

 

右と同旨の論旨は理由があり、

その余の点について判断するまでもなく

原判決中上告人敗訴部分は破棄を免れない。

 

そして、本件については、被上告人らの

民法七一五条、七一六条ただし書に基づく予備的請求につき

更に審理を尽くさせる必要があるから、

本件を原審に差し戻すのが相当である。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

判例をわかりやすく解説コーナー


スポンサードリンク