海外出張中に発症したせん孔性十二指腸かいようが業務上の疾病に当たるか

(平成16年9月7日最高裁)

事件番号  平成12(行ヒ)320

 

最高裁判所の見解

前記事実関係等によれば,上告人が本件疾病の発症以前に

その基礎となり得る素因又は疾患を有していたことは否定し難いが,

同基礎疾患等が他に発症因子がなくても

その自然の経過によりせん孔を生ずる寸前にまで

進行していたとみることは困難である。

 

そして,本件疾病を発症するに至るまでの上告人の勤務状況は,

4日間にわたって本件国内出張をした後,1日おいただけで,

外国人社長と共に,有力な取引先である英国会社との取引拡大のために

重要な意義を有する本件海外出張に,英国人顧客に同行し,

14日間に六つの国と地域を回る過密な日程の下に,

12日間にわたり,休日もなく,

連日長時間の勤務を続けたというものであったから,

これにより上告人には通常の勤務状況に照らして

異例に強い精神的及び肉体的な負担が掛かっていたものと考えられる。

以上の事実関係によれば,本件各出張は,

客観的にみて,特に過重な業務であったということができるところ,

本件疾病について,他に確たる発症因子があったことはうかがわれない。

そうすると,本件疾病は,上告人の有していた

基礎疾患等が本件各出張という特に過重な業務の遂行により

その自然の経過を超えて急激に悪化したことによって

発症したものとみるのが相当であり,

上告人の業務の遂行と本件疾病の発症との間に

相当因果関係の存在を肯定することができる。

本件疾病は,労働者災害補償保険法にいう

業務上の疾病に当たるというべきである。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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