溜池の堤塘工事を施行した地方公共団体の国家賠償法2条1項の責任
(平成4年3月3日最高裁)
事件番号 昭和63(オ)852
最高裁判所の見解
原審の適法に確定した事実関係によれば、
被上告人の施行した本件溜池の堤塘工事は、
臨時石炭鉱害復旧法に基づく復旧工事であり、
鉱害が復旧されたことによって目的を達成し、
その構造上に欠陥もなく、被上告人が
同種工事を継続又は反復することは予定されていない、
というのである。
右の事実関係の下において、被上告人が
本件溜池を本件工事終了後も事実上管理
しているものとは認められないとし、したがって、
本件溜池で発生した本件事故につき、
被上告人は、国家賠償法二条一項の規定する
賠償責任を負うものではないとした原審の判断は、
正当として是認することができる。
所論引用の判例は、所論の趣旨を判示したものではなく、
原判決に所論の違法はない。
論旨は、独自の見解に立って原判決を論難するものにすぎず、
採用することができない。
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