特別背任罪の共同正犯
(平成20年5月19日最高裁)
事件番号 平成18(あ)2030
この裁判は、
銀行がした融資に係る頭取らの特別背任行為につき,
当該融資の申込みをしたにとどまらず,
その実現に積極的に加担した融資先会社の実質的経営者に,
特別背任罪の共同正犯の成立が認められた事例です。
最高裁判所の見解
事実関係のとおり,被告人は,
特別背任罪の行為主体の身分を有していないが,
上記認識の下,単に本件融資の申込みをしたにとどまらず,
本件融資の前提となる再生スキームをDらに提案し,
G社との債権譲渡の交渉を進めさせ,
不動産鑑定士にいわば指し値で本件ゴルフ場の
担保価値を大幅に水増しする不動産鑑定評価書を作らせ,
本件ゴルフ場の譲渡先となるCを新たに設立した上,
Dらと融資の条件について協議するなど,
本件融資の実現に積極的に加担したものである。
このような事実からすれば,被告人は
Dらの特別背任行為について
共同加功したものと評価することができるのであって,
被告人に特別背任罪の共同正犯の成立を認めた原判断は相当である。
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