特定の者が宗教法人の代表役員の地位にあることが争われている訴訟と法律上の争訟

(平成5年9月7日最高裁)

事件番号  昭和61(オ)531

 

最高裁判所の見解

特定の者が宗教団体の宗教活動上の地位にあることに基づいて

宗教法人である当該宗教団体の代表役員の

地位にあることが争われている場合には、

裁判所は、原則として、右の者が宗教活動上の地位にあるか否かを

審理、判断すべきものであるが、

他方、宗教上の教義ないし信仰の内容にかかわる事項についてまで

裁判所の審判権が及ぶものではない

(最高裁昭和五二年(オ)第一七七号同五五年四月一〇日第一小法廷判決・

裁判集民事一二九号四三九頁参照)。

 

したがって、特定の者の宗教活動上の地位の存否を審理、判断するにつき、

当該宗教団体の教義ないし信仰の内容に立ち入って

審理、判断することが必要不可欠である場合には、

裁判所は、その者が宗教活動上の地位にあるか否かを

審理、判断することができず、その結果、

宗教法人の代表役員の地位の存否についても

審理、判断することができないことになるが、

この場合には、特定の者の宗教法人の代表役員の地位の

存否の確認を求める訴えは、裁判所が法令の適用によって

終局的な解決を図ることができない訴訟として、

裁判所法三条にいう「法律上の争訟」に当たらないというほかない。

 

これを本件についてみるのに、上告人らの請求は、

被上告人B1(以下「B1」という。)が

被上告人B2(以下「B2」という。)の

代表役員及び管長の地位にないことの確認を求めるものであるが、

原審の判示するところによれば、B2においては、

代表役員は、管長の職にある者をもって充て、管長は、

法主の職にある者をもって充てるものとされているところ、

代表役員は、宗教法人法に基づき設立された宗教法人である

B2を代表する地位であり、法主は、

B2の宗教上の最高権威者の呼称であって、

宗教活動上の地位であるというのである。

 

原審の右認定判断は、記録に照らして首肯するに足り、

右事実関係によれば、B1が代表役員及び管長の

地位にあるか否かを審理、判断するには、

B1が法主の地位にあるか否かを審理、

判断する必要があるところ、記録によれば、

B2においては、法主は、宗祖以来の

唯授一人の血脈を相承する者であるとされているから、

B1が法主の地位にあるか否かを審理、判断するには、

血脈相承の意義を明らかにした上で、同人が血脈を

相承したものということができるかどうかを審理しなければならない。

 

そのためには、B2の教義ないし信仰の内容に立ち入って

審理、判断することが避けられないことは、明らかである。

 

そうであるとすると、本件訴えは、

結局、いずれも法律上の争訟性を欠き、

不適法として却下を免れない。

 

したがって、本件訴えを却下すべきものとした第一審判決は相当であるから、

上告人らの控訴を棄却すべきものとした原判決は、

その結論において是認することができる。

 

論旨は、原審の判断の違憲、違法をいうが、

原判決の結論に影響を及ぼさない部分を論難するものにすぎず、

採用することができない。

 

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