現住建造物等放火被告事件

( 平成24年2月29日最高裁)

事件番号  平成23(あ)775

 

この裁判は、

現住建造物等放火被告事件につき,訴因変更手続を経ることなく

訴因と異なる放火方法を認定したことが違法とされた事例です。

 

最高裁判所の見解

被告人が上記ガスに引火,爆発させた方法は,

本件現住建造物等放火罪の実行行為の内容をなすものであって,

一般的に被告人の防御にとって重要な事項であるから,

判決において訴因と実質的に異なる認定をするには,

原則として,訴因変更手続を要するが,例外的に,

被告人の防御の具体的な状況等の審理の経過に照らし,

被告人に不意打ちを与えず,かつ,判決で認定される事実が

訴因に記載された事実と比べて被告人にとってより

不利益であるとはいえない場合には,

訴因変更手続を経ることなく訴因と異なる実行行為を

認定することも違法ではないと解される

(最高裁平成11年(あ)第423号同13年4月11日

第三小法廷決定・刑集55巻3号127頁参照)。

 

原審において訴因変更手続が行われていないことは

前記のとおりであるから,本件が上記の例外的に

訴因と異なる実行行為を認定し得る場合であるか否かについて検討する。

 

第1審及び原審において,検察官は,上記ガスに引火,

爆発した原因が本件ガスコンロの点火スイッチの作動による点火にあるとした上で,

被告人が同スイッチを作動させて点火し,

上記ガスに引火,爆発させたと主張し,

これに対して被告人は,故意に同スイッチを作動させて点火したことはなく,また,

上記ガスに引火,爆発した原因は,

上記台所に置かれていた冷蔵庫の部品から出る火花その他の

火源にある可能性があると主張していた。

 

そして,検察官は,上記ガスに引火,爆発した原因が

同スイッチを作動させた行為以外の行為であるとした場合の

被告人の刑事責任に関する予備的な主張は行っておらず,

裁判所も,そのような行為の具体的可能性や

その場合の被告人の刑事責任の有無,内容に関し,

求釈明や証拠調べにおける発問等はしていなかったものである。

 

このような審理の経過に照らせば,

原判決が,同スイッチを作動させた行為以外の行為により引火,

爆発させた具体的可能性等について何ら審理することなく

「何らかの方法により」引火,爆発させたと認定したことは,

引火,爆発させた行為についての

本件審理における攻防の範囲を越えて

無限定な認定をした点において被告人に不意打ちを

与えるものといわざるを得ない。

 

そうすると,原判決が訴因変更手続を経ずに上記認定をしたことには

違法があるものといわざるを得ない

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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