登記官が不動産登記簿の表題部に所有者を記載する行為と抗告訴訟の対象
(平成9年3月11日最高裁)
事件番号 平成6(行ツ)197
最高裁判所の見解
登記官が不動産登記簿の表題部に所有者を記載する行為は、
所有者と記載された特定の個人に不動産登記法一〇〇条一項一号に基づき
所有権保存登記申請をすることができる地位を与えるという
法的効果を有するから、抗告訴訟の対象となる
行政処分に当たると解するのが相当である。
そして、上告人は、本件土地の登記簿の表題部の
所有者欄に記載されたDの一般承継人であるというのであるから、
右所有者欄の「外七名」という記載の無効確認を求める
上告人の訴えは適法であって、これを不適法として
却下した原判決の判断には、
法令の解釈適用を誤った違法があるものというべきである。
しかしながら、被上告人が右の「外七名」という記載をしたことに
違法はないと解すべきであることは前記のとおりであるから、
右無効確認請求は、理由がないことが明らかである。
そうすると、右請求は棄却を免れないところであるが、
不利益変更禁止の原則により、
上告を棄却するにとどめるほかはなく、
結局、原判決の右違法は、結論に影響を及ぼさないものというに帰する。
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