白山ひめ神社御鎮座二千百年式年大祭奉賛会損害賠償請求事件

(平成22年7月22日最高裁)

事件番号  平成20(行ツ)202

 

この裁判は、

神社の鎮座2100年を記念する

大祭に係る諸事業の奉賛を目的とする

団体の発会式に地元の市長が出席して祝辞を述べた行為が,

憲法20条3項に違反しないとされた事例です。

 

最高裁判所の見解

前記事実関係等によれば,本件大祭は本件神社の

鎮座2100年を記念する宗教上の祭祀であり,

本件発会式は本件大祭に係る諸事業の奉賛を目的とする

奉賛会の発会に係る行事であるから,

これに出席して祝辞を述べる行為が宗教との

かかわり合いを持つものであることは否定し難い。

 

他方で,前記事実関係等によれば,

本件神社には多数の参詣客等が訪れ,

その所在する白山周辺地域につき観光資源の保護開発及び

観光諸施設の整備を目的とする財団法人が設けられるなど,

地元にとって,本件神社は重要な

観光資源としての側面を有していたものであり,

本件大祭は観光上重要な行事であったというべきである。

 

奉賛会は,このような性質を有する行事としての

本件大祭に係る諸事業の奉賛を目的とする団体であり,

その事業自体が観光振興的な意義を相応に有するものであって,

その発会に係る行事としての本件発会式も,本件神社内ではなく,

市内の一般の施設で行われ,その式次第は

一般的な団体設立の式典等におけるものと変わらず,

宗教的儀式を伴うものではなかったものである。

 

そして,Dはこのような本件発会式に

来賓である地元の市長として招かれ,

出席して祝辞を述べたものであるところ,その祝辞の内容が,

一般の儀礼的な祝辞の範囲を超えて宗教的な意味合いを

有するものであったともうかがわれない。

 

そうすると,当時市長の職にあったDが本件発会式に出席して

祝辞を述べた行為は,市長が地元の観光振興に尽力すべき立場にあり,

本件発会式が上記のような観光振興的な意義を

相応に有する事業の奉賛を目的とする

団体の発会に係る行事であることも踏まえ,

このような団体の主催する当該発会式に来賓として招かれたのに応じて,

これに対する市長としての社会的儀礼を尽くす目的で行われたものであり,

宗教的色彩を帯びない儀礼的行為の範囲にとどまる態様のものであって,

特定の宗教に対する援助,助長,促進になるような効果を

伴うものでもなかったというべきである。

 

したがって,これらの諸事情を総合的に考慮すれば,

Dの上記行為は,宗教とのかかわり合いの程度が,

我が国の社会的,文化的諸条件に照らし,

信教の自由の保障の確保という制度の

根本目的との関係で相当とされる限度を超えるものとは認められず,

憲法上の政教分離原則及びそれに基づく

政教分離規定に違反するものではないと解するのが相当である。

 

以上の点は,当裁判所大法廷判決

(最高裁昭和46年(行ツ)第69号同52年7月13日判決・

民集31巻4号533頁,最高裁平成4年(行ツ)第156号同9年4月2日判決・

民集51巻4号1673頁,最高裁平成19年(行ツ)第260号

同22年1月20日判決・民集64巻1号登載予定等)

の趣旨に徴して明らかというべきである。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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