債権を目的とする質権の設定者が当該債権に基づきその債務者に対して破産の申立てをすることの可否
(平成11年4月16日最高裁)
事件番号 平成10(許)8
最高裁判所の見解
債権が質権の目的とされた場合において、質権設定者は、
質権者の同意があるなどの特段の事情のない限り、
当該債権に基づき当該債権の債務者に対して
破産の申立てをすることはできないものと解するのが相当である。
けだし、質権の目的とされた債権については、原則として、
質権設定者はこれを取り立てることができず、
質権者が専ら取立権を有すると解されるところ(民法三六七条参照)、
当該債権の債務者の破産は、質権者に対し、
破産手続による以外当該債権の取立てが
できなくなるという制約を負わせ(破産法一六条参照)、
また、本件のように当該債権の債務者が株式会社である場合には、
会社の解散事由となって(商法四〇四条一号参照)、
質権者は破産手続による配当によって
満足を受けられなかった残額については
通常その履行を求めることができなくなるという事態をもたらすなど、
質権者の取立権の行使に重大な影響を及ぼすものであるからである。
これと同旨をいう原審の判断は、正当として是認することができる。
論旨は採用することができない。
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