破産終結後における破産者の財産に関する訴訟と破産管財人の被告適格

(平成5年6月25日最高裁)

事件番号  平成3(オ)1334

 

最高裁判所の見解

 

破産手続が終結した後における破産者の財産に関する訴訟については、

当該財産が破産財団を構成し得るものであったとしても、

破産管財人において、破産手続の過程で破産終結後に

当該財産をもって破産法二八三条一項後段の規定する

追加配当の対象とすることを予定し、

又は予定すべき特段の事情がない限り、

破産管財人に当事者適格はないと解するのが相当である。

 

けだし、破産手続が終結した場合には、

原則として破産者の財産に対する破産管財人の

管理処分権限は消滅し、以後、破産者が

管理処分権限を回復するところ、例えば、

破産終結後、破産債権確定訴訟等で破産債権者が敗訴したため、

当該債権者のために供託していた配当額を

他の債権者に配当する必要を生じた場合、

又は破産管財人が任務をけ怠したため、

本来、破産手続の過程で行うべき配当を

行うことができなかった場合など、

破産管財人において、当該財産をもって

追加配当の対象とすることを予定し、

又は予定すべき特段の事情があるときには、

破産管財人の任務はいまだ終了していないので、

当該財産に対する管理処分権限も消滅しないというべきであるが、

右の特段の事情がない限り、破産管財人の任務は終了し、

したがって、破産者の財産に対する破産管財人の

管理処分権限も消滅すると解すべきであるからである。

 

これを本件についてみるのに、被上告人の請求は、

第一審判決添付物件目録記載の

土地及び建物の所有権に基づき、

株式会社Dを権利者とする根抵当権設定登記等(以下「本件登記」という。)の

抹消登記手続を求めるものであるところ、

原審の確定事実によれば、株式会社Dは、

昭和四〇年一二月二三日、本件登記を経由したが、

昭和四一年一〇月一三日、

大阪地方裁判所で破産宣告を受けた、

というのであるから、

本件登記に係る被担保債権が存在するとすれば、

それは破産財団を構成し得るものであったということができる。

 

しかし、記録によれば、株式会社Dの破産手続は、

本件訴訟が提起された平成二年一〇月三〇日以前の

昭和五〇年一二月二五日、既に終結しているところ、

同社の破産管財人であった上告人において、

破産手続の過程で破産終結後に本件登記に係る

被担保債権をもって追加配当の対象とすることを予定し、

又は予定すべき特段の事情があったとはうかがわれないから、

被上告人が本件登記の抹消登記手続を求めるには、

上告人を被告とすべきものではなく、

株式会社Dを被告とすべきものであったといわなければならない。

 

以上と異なる見解に立ち、

上告人に本件訴訟の被告適格があるとして、

本案判断をした原判決及び第一審判決には、

法令の解釈適用を誤った違法があるというほかなく、

その違法が判決の結論に影響を及ぼすことは明らかであるから、

原判決を破棄して、第一審判決を取り消し、

被上告人の本件訴えを却下することとする。

 

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