私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律

(平成15年9月9日最高裁)

事件番号  平成14(行ヒ)242

 

最高裁判所の見解

私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律は,

一般消費者の利益を確保するとともに,

国民経済の民主的で健全な発達を促進するという

1条に規定する目的に資するため,

公正取引委員会は,法の適正な運用を図るために

事業者の秘密を除いて必要な事項を

一般に公表することができる(43条),

何人も,法違反事実があると思料するときは公正取引委員会に対し

その事実を報告し,適当な措置を執るべきことを求めることができ,

報告があったときは,公正取引委員会は,

事件について必要な調査をしなければならない(45条),

公正取引委員会は,必要があると認めるときは職権で

審決の結果について関係のある第三者を審判手続に

参加させることができる(59条),

関係のある公務所又は公共的な団体は,

公益上必要があると認めるときは公正取引委員会の承認を得て

審判手続に参加することができ,公共の利益を保護するために

公正取引委員会に対して意見を

述べることができる(60条,61条)などと規定している。

 

このような法の規定やその趣旨,目的等に照らせば,

法69条所定の事件記録の閲覧謄写請求権は,

審判手続における当事者の防御権行使等のためだけに

認められたものではなく,審判手続に参加し得る者が

参加又は意見陳述の要否を検討し,法違反行為の

被害者が差止請求訴訟又は損害賠償請求訴訟を提起しあるいは

維持するための便宜を図る趣旨をも含むものと解するのが相当である。

 

そうすると,同条にいう利害関係人とは,

当該事件の被審人のほか,法59条及び

60条により審判手続に参加し得る者並びに

当該事件の対象をなす違反行為の被害者をいい

(最高裁昭和46年(行ツ)第82号同50年7月10日

第一小法廷判決・民集29巻6号888頁),

被審人に対し上記違反行為の被害者として

その差止め又は損害賠償を請求する者は,

当該事件について審決が確定する前であっても,

法69条にいう利害関係人として事件記録の閲覧謄写を

請求することができるものというべきである。

 

ところで,地方公共団体の住民が,

地方自治法242条の2第1項4号に基づき,

法違反行為の被害者である地方公共団体に代位して

被審人に対し損害賠償を請求する住民訴訟を提起した場合,

当該訴訟において審判の対象とされるのは,

被審人に対する地方公共団体の損害賠償請求権の存否であり,

審判事件の事件記録を利用することの必要性,有用性については,

地方公共団体が自ら被審人に対し

損害賠償請求をしている場合と異ならない。

 

このことに,上記のような法の規定やその趣旨,目的等を併せ考えると,

地方公共団体の住民が,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,

法違反行為の被害者である地方公共団体に代位して被審人に対し

損害賠償を請求する住民訴訟を提起し,

当該違反行為の被害者に準ずる地位を取得した場合には,

当該住民は,法69条にいう利害関係人に当たると

解するのが相当である。

 

以上によれば,上告参加人ら外1名は,

法69条にいう利害関係人に当たるというべきであり,

論旨は理由がある。

 

これと異なる原審の前記判断には,

判決に影響を及ぼすことが

明らかな法令の違反があり,原判決は破棄を免れない。

 

そして,被上告人らの請求を棄却すべきものとした

第1審判決は是認することができ,

被上告人らの控訴を棄却すべきである。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

判例をわかりやすく解説コーナー


スポンサードリンク