組合員代表訴訟

(平成15年6月12日最高裁)

事件番号  平成14(受)853

 

最高裁判所の見解

金融整理管財人は,あくまでも被管理金融機関を代表し,

業務の執行並びに財産の管理及び処分を行うのであり(金融再生法11条1項),

被管理金融機関がその財産等に対する管理処分権を失い,

金融整理管財人が被管理金融機関に代わりこれを取得するものではない。

この点において,金融整理管財人は,会社更生手続等における管財人等とは,

法的地位を異にするものである。会社更生手続においては,

更生手続開始の決定があると,会社の事業の経営並びに

財産の管理及び処分をする権利は,管財人に専属し(会社更生法53条),

会社の財産関係の訴えについては,

管財人を原告又は被告とし(同法96条1項),

既に係属中の訴訟の手続は,中断し(同法68条),

管財人と相手方との間で受継が行われる(同法69条1項)。

 

民事再生手続においては,管理命令が発せられると,

再生債務者の業務の遂行並びに財産の管理及び処分をする権利は,

管財人に専属し(民事再生法66条),

再生債務者の財産関係の訴えについては,

管財人を原告又は被告とし(同法67条1項),

既に係属中の訴訟の手続は,中断し(同条2項),

管財人と相手方との間において受継が行われる(同条3項)。

 

また,破産手続においては,破産財団の管理及び処分をする権利は,

破産管財人に専属し(破産法7条),破産財団に関する訴えについては,

破産管財人を原告又は被告とし(同法162条),

既に係属中の訴訟は,中断し(民訴法125条1項),

破産管財人と相手方との間において受継が行われる(破産法69条1項)。

 

一方,金融再生法には,金融整理管財人の被管理金融機関に代わっての

財産等管理処分権並びに訴訟手続における当事者適格,

中断及び受継に関する規定がないのである。

 

これは,金融整理管財人が被管理金融機関を代表する地位にあるからである。

金融再生法18条1項は,

「金融整理管財人は,被管理金融機関の取締役若しくは

監査役又はこれらの者であった者の職務上の

義務違反に基づく民事上の責任を履行させるため,

訴えの提起その他の必要な措置をとらなければならない。」と規定しているが,

これは,金融整理管財人は被管理金融機関を代表する立場で

これらの措置をとらなければならないという趣旨であって,

訴えの提起についても,金融整理管財人は,当事者としてではなく,

被管理金融機関の代表者として訴訟を追行することになるのである。

 

訴えの当事者は,あくまでも被管理金融機関である。

したがって,信用協同組合の組合員は,当該信用協同組合に対し

金融整理管財人による業務及び財産の管理を命ずる処分がされても,

中小企業等協同組合法42条において準用する商法267条に基づき,

「当該信用協同組合のため」組合員代表訴訟を提起することができる。

 

そして,組合員代表訴訟が既に係属中に,上記の処分がされても,

当該訴えを提起した組合員は,

訴訟を追行する資格又は権限を失うものではない。

 

また,中小企業等協同組合法42条において準用する

商法268条2項に基づく組合員又は信用協同組合の

組合員代表訴訟に参加する資格も,

上記の処分により影響を受けるものではないと解すべきである。

金融整理管財人としては,必要に応じて,組合員代表訴訟の推移を見守り,

又は被管理信用協同組合を代表して

同訴訟に参加することができるものというべきである。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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