給付訴訟において不執行の合意が認定された場合の判決主文

(平成5年11月11日最高裁)

事件番号  平成2(オ)170

 

最高裁判所の見解

給付訴訟の訴訟物は、直接的には、

給付請求権の存在及びその範囲であるから、

右請求権につき強制執行をしない旨の合意(以下「不執行の合意」という。)が

あって強制執行をすることができないものであるかどうかの点は、

その審判の対象にならないというべきであり、

債務者は、強制執行の段階において不執行の合意を主張して

強制執行の可否を争うことができると解される。

 

しかし、給付訴訟において、

その給付請求権について不執行の合意があって

強制執行をすることができないものであることが主張された場合には、

この点も訴訟物に準ずるものとして

審判の対象になるというべきであり、

裁判所が右主張を認めて右請求権に基づく

強制執行をすることができないと判断したときは、

執行段階における当事者間の紛争を未然に防止するため、

右請求権については強制執行をすることができないことを

判決主文において明らかにするのが相当であると解される

(最高裁昭和四六年(オ)第四一一号同四九年四月二六日第二小法廷判決・

民集二八巻三号五〇三頁参照)。

 

これを本件についてみるに、原審は、本件債務について

上告人と被上告人との間に不執行の合意があったことを

適法に確定した上で、本件債務は、いわゆる責任のない債務であり、

強制執行をすることはできないと判断したのであるから、

その旨を判決主文に明示すべきであったのであり、

右明示を欠いた原判決には、この点において

法令解釈を誤った違法があり、

この違法は判決に影響を及ぼすことが明らかである。

 

論旨は右の趣旨をいう点において理由があり、

原判決は破棄を免れない。

 

そして、前記説示したところによれば、

原判決の主文を本判決主文のとおり変更すべきである。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

判例をわかりやすく解説コーナー


スポンサードリンク