自動継続特約付きの定期預金債権に対する仮差押えの執行と同特約に基づく自動継続の成否

(平成13年3月16日最高裁)

事件番号  平成11(受)320

 

最高裁判所の見解

(1) 自動継続定期預金における自動継続特約は,

預金者から満期日における払戻請求がされない限り,

当事者の何らの行為を要せずに,

満期日において払い戻すべき元金又は元利金について,

前回と同一の預入期間,定期預金として

継続させることを内容とするものであり,

預入期間に関する合意として,

当初の定期預金契約の一部を構成するものである。

 

したがって,自動継続定期預金について仮差押えの執行がされても,

同特約に基づく自動継続の効果が妨げられることはない。

 

そうすると,被上告人は,本件1ないし8の定期預金に対して

仮差押えの執行がされたとの一事をもって

継続拒絶の理由とすることはできず,

本件においては他に継続拒絶を正当とする事情も認められないから,

本件1ないし8の定期預金について平成6年3月29日までの

定期預金利息の支払等を求める

上告人の請求は理由があるというべきである。

 

こり,この違法は原判決の結論に影響を及ぼすことが明らかである。

 

(2) 本件9ないし20の定期預金について,原審は,

被上告人が上告人に対し,各満期日の到来に際して

継続の手続を遺漏なく行うことを約束していた事実

(以下,この約束を「本件合意」という。)を認定した上,

「満期が到来した場合に当然に継続の扱いをする

旨を約したことまでは認めるに足り」ないと判示した。

 

この判示は,本件合意が本件1ないし8の定期預金に付されていた

自動継続特約ないしこれと同旨の特約では

なかったとの判断を示すものと解される。

 

しかし,本件合意は,各満期に際して預金者たる

上告人から被上告人に対し継続の申入れがあれば,

それによって各満期日に従来の定期預金が

継続されるとの趣旨(民法556条,559条参照),

あるいは,被上告人において上告人の継続申入れに

応じるべき義務を生じるとの趣旨にも解釈し得るものである。

 

そして,上告人が,本件9ないし20の定期預金について,

各満期日の到来する都度,被上告人に対し継続の申入れを

していたことは原審の認定するところであるから,

本件合意の趣旨ないし法的性質のいかんによっては,

被上告人に正当な抗弁がない限り,上告人の申入れによって

本件9ないし20の定期預金が継続されて以後定期預金利息が発生し,

あるいは被上告人にこれを継続すべき義務が生じて

その履行を拒絶した被上告人の

債務不履行責任が問題となり得る筋合いである

(記録によれば,上告人は

その趣旨の主張をもしていると認められる。)。

 

したがって,原審としては,

本件合意の存在を認定した以上,

その趣旨及び法的性質を審理した上,

被上告人の抗弁の成否について判断すべきであった。

 

しかるに原審がこのような措置をとらなかったことは,

契約の解釈に関する法令の適用を誤り,

ひいては審理不尽の違法を犯したものというべく,

これが判決に影響を及ぼすことは明らかである。

 

論旨は以上と同旨をいうものとして理由があり,

原判決は破棄を免れない。

 

そこで,本件1ないし8の定期預金については

被上告人の支払うべき定期預金利息の金額について,

本件9ないし20の定期預金については本件合意の趣旨ないし

法的性質等について,更に審理を尽くさせるため,

本件を原審に差し戻すこととする。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

判例をわかりやすく解説コーナー


スポンサードリンク