葬祭料不支給決定処分取消
(平成9年1月23日最高裁)
事件番号 平成7(行ツ)24
最高裁判所の見解
労働者災害補償保険法二七条一号所定の事業主の特別加入の制度は、
労働者に関し成立している労災保険に係る労働保険の
保険関係(以下「保険関係」という。)を前提として、
右保険関係上、事業主を労働者とみなすことにより、
当該事業主に対する同法の適用を可能とする
制度である(労働者災害補償保険法二八条)。
原審の適法に確定した事実関係等によれば、Dは、
土木工事及び重機の賃貸を業として行っていた者であるが、
その使用する労働者をDが建設事業の下請として請け負った
土木工事にのみ従事させており、重機の賃貸については、
労働者を使用することなく、
請負に係る土木工事と無関係に行っていたというのである。
そうであれば、同法二八条に基づきDの加入申請が
承認されたことによって、その請負に係る土木工事が
関係する建設事業につき保険関係が成立したにとどまり、
労働者を使用することなく行っていた重機の賃貸業務については、
労働者に関し保険関係が成立していないものといわざるを得ないのであるから、
Dは、重機の賃貸業務に起因する死亡等に関し、
同法に基づく保険給付を受けることができる者となる余地はない。
したがって、Dが業務上死亡したものとは認められないとした原審の判断は、
説示中に適切を欠く部分があるが、
結論において是認することができる。
論旨は、原判決の結論に影響を及ぼさない部分について
その違法をいうに帰し、採用することができない。
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