衆議院の委員会で審査中の法律案に関し同委員会に所属しない同院議員に対する贈賄罪が成立するとされた事例
(昭和63年4月11日最高裁)
事件番号 昭和58(あ)770
最高裁判所の見解
一、二審判決の認定するところによれば、被告人は、
タクシー等の燃料に用いる液化石油ガスに新たに課税することを
内容とする石油ガス税法案が、既に内閣から衆議院に提出され、
当時衆議院大蔵委員会で審査中であつたところ、
Aほか五名と共謀の上、衆議院議員として
法律案の発議、審議、表決等をなす職務に従事していたB、Cの両名に対し、
単に被告人らの利益にかなう政治活動を
一般的に期待するにとどまらず、右法案が廃案になるよう、
あるいは、税率の軽減、課税実施時期の延期等により被告人ら
ハイヤータクシー業者に有利に修正されるよう、
同法案の審議、表決に当たつて自らその旨の意思を表明するとともに、
衆議院大蔵委員会委員を含む他の議員に対して
説得勧誘することを依頼して、
本件各金員を供与したというのであるから、
B、Cがいずれも当時衆議院運輸委員会委員であつて
同大蔵委員会委員ではなかつたとはいえ、
右金員の供与は、衆議院議員たるB、Cの職務に関してなされた
賄賂の供与というべきであつて、
これと同旨の原判断は正当である。
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