行政事件訴訟法22条1項にいう「訴訟の結果により権利を害される第三者」
(平成14年9月26日最高裁)
事件番号 平成13(行ニ)5
最高裁判所の見解
労働組合法27条に定める労働委員会の救済命令制度は,
不当労働行為につき一定の救済利益を有すると認められる
労働組合及び労働者に対し,
それぞれ独立の救済申立権を保障するものであるから,
労働組合のみが労働委員会に救済を申し立てた場合に,
その申立てに係る救済命令又は救済申立てを棄却する命令が確定したとしても,
当該労働組合に所属する労働者が自ら救済申立てをする権利に何らかの
法的影響が及ぶものではない。上記各命令の確定後に労働者が
自ら救済申立てをしようとしても,救済申立期間の経過により,
これを行うことができなくなっていることもあるが,
それは自ら救済申立期間内に申立てをしなかったことの結果にすぎない。
そして,労働組合の救済申立てに係る
救済命令の内容が労働者個人の
雇用関係上の権利にかかわるものである場合には,
当該労働者は,使用者が公法上の義務として
これを履行することにより利益を受けることになり,
上記救済命令が判決により取り消されれば,
その利益を受けられなくなるのであるが,
当該労働者は上記の義務の履行を求める権利を有するものではないし,
救済を申し立てなかった当該労働者の救済命令を求める権利が
侵害されることもないのであるから,
上記利益を受けられなくなることによりその者の法律上の利益が
害されたということはできない。
以上によれば,上記労働者は行政事件訴訟法22条1項にいう
「訴訟の結果により権利を害される第三者」
には当たらないというべきである。
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