行政庁を被告とする取消訴訟の管轄を定めた行政事件訴訟法12条の規定と憲法32条
(平成元年6月8日最高裁)
事件番号 平成1(行ト)2
最高裁判所の見解
憲法三二条は、何人も裁判所において裁判を受ける
権利のあることを規定するが、いかなる裁判所において
裁判を受くべきかの裁判所の組織、権限、審級等については、
すべて法律において諸般の事情を考慮して決定すべき
立法政策の問題であつて、
なんら憲法の制限するところではないと解すべきことは、
すでに当裁判所大法廷判決の判示するところである
(昭和二三年(れ)第二八一号同二五年二月一日判決・
刑集四巻二号八八頁)。
したがつて、行政庁を被告とする取消訴訟の管轄を定めた
行政事件訴訟法一二条の規定及び同条所定の管轄を有する
東京地方裁判所への本件移送決定を相当とした
原決定が憲法三二条に違反するものでないことは、
右判例の趣旨に徴して明らかである。
また、所論は、憲法一三条、二五条違反をいうが、
右違憲主張はいずれも、右に述べた立法政策の当否をいうものにすぎず、
失当というべきである。論旨は、いずれも採用することができない。
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