被用者と第三者との共同不法行為による損害を賠償した第三者からの使用者に対する求償権の成否
(昭和63年7月1日最高裁)
事件番号 昭和60(オ)1145
最高裁判所の見解
被用者がその使用者の事業の執行につき第三者との
共同の不法行為により他人に損害を加えた場合において、
右第三者が自己と被用者との過失割合に従つて定められるべき
自己の負担部分を超えて被害者に損害を賠償したときは、
右第三者は、被用者の負担部分について
使用者に対し求償することができるものと解するのが相当である。
けだし、使用者の損害賠償責任を定める民法七一五条一項の規定は、
主として、使用者が被用者の活動によつて
利益をあげる関係にあることに着目し、
利益の存するところに損失をも帰せしめるとの見地から、
被用者が使用者の事業活動を行うにつき他人に
損害を加えた場合には、使用者も被用者と
同じ内容の責任を負うべきものとしたものであつて、
このような規定の趣旨に照らせば、
被用者が使用者の事業の執行につき第三者との共同の不法行為により
他人に損害を加えた場合には、使用者と被用者とは
一体をなすものとみて、右第三者との関係においても、
使用者は被用者と同じ内容の責任を負うべきものと
解すべきであるからである。
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