記載内容が事実に合致しないため公正証書が無効とされた事例

(平成6年4月5日最高裁)

事件番号  平成2(オ)53

 

最高裁判所の見解

公正証書に記載された債権の発生原因事実が

多少真実の事実と一致しないところがあっても、

その記載により債権の同一性が認識できる場合は、

その公正証書は真実の債権と一致する部分に限り、

債務名義としての効力を有する

(最高裁昭和四五年(オ)第二五〇号同年一〇月一日第一小法廷判決・

裁判集民事一〇一号七頁)。

 

そして、原審の確定した前記事実関係によれば、

本件公正証書に記載された債権の発生原因事実は、

本件1ないし6の貸付け債権及び本件準消費貸借債権の発生原因事実と、

契約日、金額などの点で全く一致せず

(仮に、本件公正証書作成に際し、

これらを一口の債権にとりまとめて消費貸借の目的としたと理解しても、

契約日、金額など全く一致しない。)、

これらの債権を含め将来二〇〇〇万円の限度で

逐次貸し付けるとの当事者間の前記合意とも一致しない。

 

したがって、本件公正証書に記載された債権と、

本件1ないし6の貸付け債権及び本件準消費貸借債権との間に

客観的な同一性を認めることはできず、

本件公正証書は債務名義として効力を有するとはいえない。

 

原判決の右判断には法令の解釈適用を誤った違法があり、

この違法が原判決中の上告人敗訴部分に

影響を及ぼすことは明らかである。

 

右の違法をいう論旨は理由があり、

その余の論旨について判断するまでもなく、

右部分は破棄を免れない。

 

そして、前記の事実関係の下においては、

本件公正証書は債務名義として無効であり、

上告人の本訴請求は正当として認容すべきものであるから、

原判決及び第一審判決を主文第一項のとおり変更すべきである。

 

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