証券取引法167条2項にいう「公開買付け等を行うことについての決定」の意義

(平成23年6月6日最高裁)

事件番号  平成21(あ)375

 

この裁判では、

証券取引法(平成18年法律第65号による改正前のもの)167条2項にいう

「公開買付け等を行うことについての決定」の意義について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

本件決定が証券取引法167条2項にいう

「公開買付け等を行うことについての決定」

に該当するかについて検討する。

 

同条1項(ただし,平成16年法律第97号による

改正前のもの。以下同項につき同じ。)は,

同条にいう「公開買付け等」の意義を定め,

同条2項は,法人の業務執行を決定する機関が

公開買付け等の決定をしたことが同条1項にいう

「公開買付け等の実施に関する事実」に当たることを定めるとともに,

ただし書において,投資者の投資に及ぼす影響が軽微なものとして

内閣府令で定める基準に該当するものを除くものとしている。

 

同条は,禁止される行為の範囲について,

客観的,具体的に定め,投資者の

投資判断に対する影響を要件として規定していない。

 

これは,規制範囲を明確にして予測可能性を高める見地から,

同条2項の決定の事実があれば通常それのみで

投資判断に影響を及ぼし得ると認められる行為に

規制対象を限定することによって,投資判断に対する

個々具体的な影響の有無程度を問わないこととした趣旨と解される。

 

したがって,公開買付け等の実現可能性が全くあるいは

ほとんど存在せず,一般の投資者の投資判断に

影響を及ぼすことが想定されないために,同条2項の

「公開買付け等を行うことについての決定」

というべき実質を有しない場合があり得るのは別として,

上記「決定」をしたというためには,

上記のような機関において,公開買付け等の実現を意図して,

公開買付け等又はそれに向けた作業等を会社の業務として

行う旨の決定がされれば足り,公開買付け等の

実現可能性があることが具体的に認められることは

要しないと解するのが相当である

(最高裁平成10年(あ)第1146号,

第1229号同11年6月10日第一小法廷判決・

刑集53巻5号415頁参照)。

これを本件についてみると,

上記1(5)から(8)記載の事実に照らし,

公開買付け等の実現可能性が全くあるいは

ほとんど存在しないという状況でなかったことは明らかであって,

上記「決定」があったと認めるに十分である。

そうすると,原判決が,主観的にも客観的にも

それ相応の根拠を持って実現可能性があることを

上記「決定」該当性の要件としたことは相当でないが,

本件決定が同条2項の「公開買付け等を行うことについての決定」

に該当するとした結論は正当である。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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