請負工事代金請求、民訴法198条2項の裁判申立

(平成9年7月15日最高裁)

事件番号  平成5(オ)2187

 

最高裁判所の見解

請負人の報酬債権に対し注文者がこれと同時履行の関係にある

目的物の瑕疵修補に代わる損害賠償債権を

自働債権とする相殺の意思表示をした場合、注文者は、

請負人に対する相殺後の報酬残債務について、

相殺の意思表示をした日の翌日から履行遅滞による

責任を負うものと解するのが相当である。

 

けだし、瑕疵修補に代わる損害賠償債権と報酬債権とは、

民法六三四条二項により同時履行の関係に立つから、

注文者は、請負人から瑕疵修補に代わる損害賠償債務の履行又は

その提供を受けるまで、自己の報酬債務の全額について

履行遅滞による責任を負わないと解されるところ

(最高裁平成五年(オ)第一九二四号同九年二月一四日第三小法廷判決・

民集五一巻二号登載予定)、

注文者が瑕疵修補に代わる損害賠償債権を自働債権として

請負人に対する報酬債務と相殺する旨の意思表示をしたことにより、

注文者の損害賠償債権が相殺適状時にさかのぼって消滅したとしても、

相殺の意思表示をするまで注文者がこれと同時履行の関係にある

報酬債務の全額について履行遅滞による責任を負わなかったという効果に

影響はないと解すべきだからである。

 

もっとも、瑕疵の程度や各契約当事者の交渉態度等にかんがみ、

右瑕疵の修補に代わる損害賠償債権をもって報酬債権全額との

同時履行を主張することが信義則に反するとして

否定されることもあり得ることは、

前掲第三小法廷判決の説示するところである。

 

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