議会の議決の適法性

(平成24年4月23日最高裁)

事件番号  平成22(行ヒ)136

 

この裁判では、

住民訴訟の対象とされている普通地方公共団体の

損害賠償請求権を放棄する旨の

議会の議決の適法性及び当該放棄の有効性に関する判断基準について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

(1) 地方自治法96条1項10号は,

普通地方公共団体の議会の議決事項として,

「法律若しくはこれに基づく政令又は条例に特別の定めがある場合を除く

ほか,権利を放棄すること」を定め,

この「特別の定め」の例としては,普通地方公共団体の長は

その債権に係る債務者が無資力又は

これに近い状態等にあるときはその議会の議決を経ることなく

その債権の放棄としての債務の免除をすることができる旨の

同法240条3項,地方自治法施行令171条の7の規定等がある。

 

他方,普通地方公共団体の議会の議決を経た上で

その長が債権の放棄をする場合における

その放棄の実体的要件については,

同法その他の法令においてこれを制限する規定は存しない。

 

したがって,地方自治法においては,

普通地方公共団体がその債権の放棄をするに当たって,

その議会の議決及び長の執行行為(条例による場合は,その公布)という

手続的要件を満たしている限り,その適否の実体的判断については,

住民による直接の選挙を通じて選出された議員により

構成される普通地方公共団体の議決機関である議会の裁量権に

基本的に委ねられているものというべきである。

 

もっとも,同法において,普通地方公共団体の執行機関又は

職員による公金の支出等の財務会計行為又は怠る事実に係る

違法事由の有無及びその是正の要否等につき住民の関与する

裁判手続による審査等を目的として住民訴訟制度が設けられているところ,

住民訴訟の対象とされている損害賠償請求権又は

不当利得返還請求権を放棄する旨の議決がされた場合についてみると,

このような請求権が認められる場合は様々であり,

個々の事案ごとに,当該請求権の発生原因である

財務会計行為等の性質,内容,原因,経緯及び影響,

当該議決の趣旨及び経緯,当該請求権の放棄又は行使の影響,

住民訴訟の係属の有無及び経緯,事後の状況

その他の諸般の事情を総合考慮して,これを放棄することが

普通地方公共団体の民主的かつ実効的な行政運営の確保を旨とする

同法の趣旨等に照らして不合理であって上記の裁量権の範囲の逸脱又は

その濫用に当たると認められるときは,その議決は違法となり,

当該放棄は無効となるものと解するのが相当である。

 

そして,当該公金の支出等の財務会計行為等の性質,内容等については,

その違法事由の性格や当該職員又は当該支出等を受けた者の

帰責性等が考慮の対象とされるべきものと解される

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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