貸金業の規制等に関する法律17条1項

(平成17年12月15日最高裁)

事件番号  平成17(受)560

 

貸金業者の業務の適正な運営を確保し,

資金需要者等の利益の保護を図ること等を目的として,

貸金業に対する必要な規制等を定める法の趣旨,

目的(法1条)等にかんがみると,

法43条1項の規定の適用要件については,

これを厳格に解釈すべきものであり,

17条書面の交付の要件についても,

厳格に解釈しなければならず,17条書面として交付された書面に

法17条1項所定の事項のうちで記載されていない事項があるときは,

法43条1項の規定の適用要件を欠くというべきである

(最高裁平成15年(オ)第386号,

同年(受)第390号同16年2月20日

第二小法廷判決・民集58巻2号475頁参照)。

 

そして,【要旨1】仮に,当該貸付けに係る契約の性質上,

法17条1項所定の事項のうち,

確定的な記載が不可能な事項があったとしても,

貸金業者は,その事項の記載義務を免れるものではなく,

その場合には,当該事項に準じた事項を記載すべき義務があり,

同義務を尽くせば,当該事項を記載したものと解すべきであって,

17条書面として交付された書面に

当該事項に準じた事項の記載がないときは,

17条書面の交付があったとは認められず,

法43条1項の規定の適用要件を欠くというべきである。

 

(2) 前記事実関係によれば,本件各貸付けは,

本件基本契約に基づいて行われたものであるが,

本件基本契約の内容は,

① 被上告人は,借入限度額の範囲内であれば繰り返し

借入れをすることができる,

② 被上告人は,元金について,

返済すべき金額の最低額(以下「最低返済額」という。)を

超える金額であれば,返済額を自由に決めることができる,

というものであることが明らかである。

 

すなわち,本件各貸付けは,本件基本契約の下で,

借入限度額の範囲内で借入れと返済を繰り返すことを

予定して行われたものであり,その返済の方式は,

追加貸付けがあっても,当該追加貸付けについての

分割払の約束がされるわけではなく,

当該追加貸付けを含めたその時点での本件基本契約に基づく

全貸付けの残元利金(以下,単に「残元利金」という。)について,

毎月15日の返済期日に最低返済額及び

経過利息を支払えば足りるとするものであり,

いわゆるリボルビング方式の一つである。

したがって,個々の貸付けについての「返済期間及び返済回数」や各回の

「返済金額」(以下,「返済期間及び返済回数」と各回の

「返済金額」を併せて「返済期間,返済金額等」という。)は

定められないし,残元利金についての返済期間,返済金額等は,

被上告人が,今後,追加借入れをするかどうか,

毎月15日の返済期日に幾ら返済するかによって変動することになり,

上告人が,個々の貸付けの際に,当該貸付けやその時点での

残元利金について,確定的な返済期間,返済金額等を

17条書面に記載して被上告人に交付することは

不可能であったといわざるを得ない。

 

しかし,本件各貸付けについて,確定的な返済期間,

返済金額等を17条書面に記載することが不可能であるからといって,

上告人は,返済期間,返済金額等を17条書面に

記載すべき義務を免れるものではなく,個々の貸付けの時点での

残元利金について,最低返済額及び経過利息を毎月15日の返済期日に

返済する場合の返済期間,返済金額等を17条書面に記載することは

可能であるから,上告人は,これを確定的な返済期間,

返済金額等の記載に準ずるものとして,

17条書面として交付する書面に

記載すべき義務があったというべきである。

 

そして,17条書面に最低返済額及び経過利息を

毎月15日の返済期日に返済する場合の返済期間,

返済金額等の記載があれば,借主は,個々の借入れの都度,

今後,追加借入れをしないで,最低返済額及び経過利息を

毎月15日の返済期日に返済していった場合,

いつ残元利金が完済になるのかを把握することができ,

完済までの期間の長さ等によって,

自己の負担している債務の重さを認識し,

漫然と借入れを繰り返すことを避けることができるものと解され,

確定的な返済期間,返済金額等の記載に準じた効果があるということができる。

 

前記事実関係によれば,本件基本契約書の記載と

本件各確認書等の記載とを併せても,確定的な返済期間,

返済金額等の記載に準ずる記載があると解することはできない。

 

したがって,本件各貸付けについては,

17条書面の交付があったとは認められず,

法43条1項の規定の適用要件を欠くというべきである。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

判例をわかりやすく解説コーナー


スポンサードリンク