貸金業の規制等に関する法律43条1項,3項

(平成18年3月17日最高裁)

事件番号  平成17(テ)21

 

この裁判は、

債務者の貸金業者に対する貸金の弁済について

貸金業の規制等に関する法律43条1項又は3項の適用を認めた

高等裁判所の上告審としての判決が特別上告審において

法令の違反があるとして職権により破棄された事例です。

 

最高裁判所の見解

(1) 法18条1項は,その文理に照らすと,

18条書面の記載事項は,同項1号から5号までに

掲げる事項(以下「法定事項」という。)及び

法定事項に追加して内閣府令

(法施行当時は大蔵省令。後に,総理府令・大蔵省令,

総理府令,内閣府令と順次改められた。)で定める事項

であることを規定するとともに,18条書面の交付方法の定めについて

内閣府令に委任することを規定したものと解される。

 

したがって,18条書面の記載事項について,

内閣府令により他の事項の記載をもって

法定事項の記載に代えることは許されないものというべきである。

 

上記内閣府令に該当する施行規則15条2項の規定のうち,

弁済を受けた債権に係る貸付けの契約を契約番号

その他により明示することをもって,

法18条1項1号から3号までに掲げる

事項の記載に代えることができる旨定めた部分は,

他の事項の記載をもって法定事項の一部の記載に代えることを

定めたものであるから,内閣府令に対する

法の委任の範囲を逸脱した違法な規定として無効と解すべきである

(最高裁平成16年(受)第1518号

第二小法廷同18年1月13日判決・民集60巻1号登載予定参照)。

 

そうすると,法18条1項2号所定の

契約年月日の記載に代えて契約番号が記載された

本件各受取証書の交付をもって,

18条書面の交付がされたものとみることはできない。

 

(2) 本件期限の利益喪失特約のうち,

Aが支払期日に利息の制限額を

超える部分(以下「制限超過部分」という。)の

支払を怠った場合に期限の利益を喪失するとする部分は,

利息制限法1条1項の趣旨に反して無効であり,Aは,

支払期日に約定の元本及び利息の制限額を支払いさえすれば,

制限超過部分の支払を怠ったとしても,

期限の利益を喪失することはなく,支払期日に約定の元本又は

利息の制限額の支払を怠った場合に限り,

期限の利益を喪失するものと解するのが相当である。

 

そして,本件期限の利益喪失特約は,法律上は,

上記のように一部無効であって,

制限超過部分の支払を怠ったとしても

期限の利益を喪失することはないけれども,

この特約の存在は,通常,債務者に対し,

支払期日に約定の元本と共に

制限超過部分を含む約定利息を支払わない限り,

期限の利益を喪失し,残元本全額を直ちに一括して支払い,

これに対する年36.50%の割合による遅延損害金を

支払うべき義務を負うことになるとの誤解を与え,

その結果,このような不利益を回避するために,

制限超過部分を支払うことを債務者に

事実上強制することになるものというべきである。

 

したがって,本件期限の利益喪失特約の下で,

債務者が,利息として,利息の制限額を超える額の金銭を支払った場合には,

上記のような誤解が生じなかったといえるような

特段の事情のない限り,債務者が自己の自由な意思によって

制限超過部分を支払ったものということはできないと

解するのが相当である

(前掲最高裁平成18年1月13日第二小法廷判決参照)。

 

そうすると,上記特段の事情の存否につき審理判断することなく,

Aが任意に制限超過部分を支払ったものということはできない。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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