賄賂罪における職務関連性

(平成22年9月7日最高裁)

事件番号  平成20(あ)738

 

この裁判は、

北海道開発庁長官が,下部組織である北海道開発局の港湾部長に対し,

競争入札が予定される港湾工事の受注に関し特定業者の便宜を図るように

働き掛ける行為について,賄賂罪における職務関連性が認められた事例です。

 

最高裁判所の見解

の事実関係の下において,北海道開発庁長官である被告人が,

港湾工事の受注に関し特定業者の便宜を図るように

北海道開発局港湾部長に働き掛ける行為は,

職員に対する服務統督権限を背景に,

予算の実施計画作製事務を統括する

職務権限を利用して,職員に対する指導の形を借りて行われたものであり,また,

被告人には港湾工事の実施に関する指揮監督権限はないとしても,

その働き掛けた内容は,予算の実施計画において

概要が決定される港湾工事について

競争入札を待たずに工事請負契約の相手方である

工事業者を事実上決定するものであって,

このような働き掛けが金銭を対価に行われることは,

北海道開発庁長官の本来的職務として行われる

予算の実施計画作製の公正及びその公正に対する

社会の信頼を損なうものである。

 

したがって,上記働き掛けは,北海道開発庁長官の職務に

密接な関係のある行為というべきである。

 

なお,所論は,談合にかかわる行為は正当な職務として

およそ行い得ない違法な類型の行為であるから,

職務に密接な関係のある行為とはなり得ない旨主張するが,

当該行為が密接関係行為に当たるかどうかは上記のように

本来の職務との関係から判断されるべきものであり,

その行為が所論のいうような違法な行為であることによって

その判断は直ちには左右されないと解するのが相当である。

 

また,所論は,受注業者の指名が港湾部長の職務権限に属することを

認定することなく,上記指名について

港湾部長を指導することが北海道開発庁長官の

職務権限に属するとした原判断が当裁判所の判例

(最高裁昭和62年(あ)第1351号平成7年2月22日大法廷判決・

刑集49巻2号1頁)に違反する旨を主張するが,

収賄罪の構成要件である「職務に関し」は,

当該収賄公務員の職務との関連性であって,

本件のように,他の公務員に働き掛けることの請託を受けて

収賄した場合であっても,働き掛けを受ける

他の公務員の職務との関連性は構成要件そのものではないのであるから,

一般的には,その職務関連性をそれ自体として

認定する必要はないものというべきである。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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