農業協同組合員代表訴訟事件

(平成21年3月31日最高裁)

事件番号  平成20(受)442

 

最高裁判所の見解

(1) 平成17年法律第87号による改正前の農業協同組合法

(以下,単に「農協法」という。)39条2項において

準用する同改正前の商法275条ノ4によれば,

農業協同組合の理事に対する組合員代表訴訟を提起しようとする

組合員の提訴請求を受けることについては,

監事が農業協同組合を代表することとなる。

 

しかし,上記のとおり監事が

農業協同組合を代表することとされているのは,

組合員代表訴訟の相手方が代表理事の同僚である理事の場合には,

代表理事が農業協同組合の代表者として

提訴請求書の送付を受けたとしても,

農業協同組合の利益よりも当該理事の利益を優先させ,

当該理事に対する訴訟を提起しないおそれがあるので,

これを防止するため,理事とは独立した立場にある監事に,

上記請求書の記載内容に沿って農業協同組合として

当該理事に対する訴訟を提起すべきか否かを

判断させる必要があるからであると解される。

 

そうすると,農業協同組合の理事に対する代表訴訟を

提起しようとする組合員が,農業協同組合の代表者として

監事ではなく代表理事を記載した提訴請求書を

農業協同組合に対して送付した場合であっても,

監事において,上記請求書の記載内容を正確に認識した上で

当該理事に対する訴訟を提起すべきか否かを自ら判断する

機会があったといえるときには,監事は,

農業協同組合の代表者として監事が記載された

提訴請求書の送付を受けたのと

異ならない状態に置かれたものといえるから,

上記組合員が提起した代表訴訟については,

代表者として監事が記載された適式な提訴請求書が

あらかじめ農業協同組合に送付されていたのと同視することができ,

これを不適法として却下することはできないというべきである。

 

(2) 前記事実関係によれば,B農協の代表理事組合長であった被上告人Y は,

平成15年6月30日に開催された同農協の理事会において,

出席していた理事及び監事に対し,本件提訴請求についての審議を求め,

その際,本件提訴請求書の記載内容を読み上げたというのであり,

その結果,同農協は,同年7月23日に開催された理事会において,

いったんは,その記載内容に沿ってA農協の

理事及び監事であった者に対する訴訟を

提起することを決議したというのである。

 

そうすると,B農協の監事には,同年6月30日の時点で,

本件提訴請求書の記載内容を正確に認識した上で

被上告人Yらに対する訴訟を提起すべきか否かを

自ら判断する機会があったというべきであるから,

本件訴えは,本件提訴請求の時点において同農協の理事であった

被上告人Y らに関する部分についても,

適式な提訴請求があったのと同視することができ,

これを不適法として却下することはできないというべきである。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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