過払金返還請求権の消滅時効の起算点

(平成21年3月6日最高裁)

事件番号  平成20(受)1170

 

この裁判では、

継続的な金銭消費貸借取引に関する基本契約が,

利息制限法所定の制限を超える利息の弁済により発生した過払金を

その後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意を含む場合における,

上記取引により生じた過払金返還請求権の消滅時効の起算点について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

前記のような過払金充当合意においては,

新たな借入金債務の発生が見込まれる限り,

過払金を同債務に充当することとし,

借主が過払金返還請求権を行使することは

通常想定されていないものというべきである。

 

したがって,一般に,過払金充当合意には,

借主は基本契約に基づく新たな

借入金債務の発生が見込まれなくなった時点,

すなわち,基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引が

終了した時点で過払金が存在していればその返還請求権を行使することとし,

それまでは過払金が発生してもその都度その返還を請求することはせず,

これをそのままその後に発生する新たな借入金債務への

充当の用に供するという趣旨が含まれているものと解するのが相当である。

 

そうすると,過払金充当合意を含む

基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引においては,

同取引継続中は過払金充当合意が法律上の障害となるというべきであり,

これにより過払金返還請求権の行使が

妨げられていると解するのが相当である。

 

借主は,基本契約に基づく借入れを継続する義務を負うものではないので,

一方的に基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引を終了させ,

その時点において存在する過払金を請求することができるが,

それをもって過払金発生時からその返還請求権の消滅時効が

進行すると解することは,

借主に対し,過払金が発生すればその返還請求権の

消滅時効期間経過前に貸主との間の継続的な金銭消費貸借取引を

終了させることを求めるに等しく,過払金充当合意を含む

基本契約の趣旨に反することとなるから,

そのように解することはできない

(最高裁平成17年(受)第844号同19年4月24日第三小法廷判決・

民集61巻3号1073頁,最高裁平成17年(受)

第1519号同19年6月7日

第一小法廷判決・裁判集民事224号479頁参照)。

 

したがって,過払金充当合意を含む基本契約に基づく継続的な

金銭消費貸借取引においては,同取引により発生した

過払金返還請求権の消滅時効は,過払金返還請求権の行使について

上記内容と異なる合意が存在するなど特段の事情がない限り,

同取引が終了した時点から進行するものと解するのが相当である

(最高裁平成20年(受)第468号同21年1月22日

第一小法廷判決・裁判所時報1476号2頁参照)。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

判例をわかりやすく解説コーナー


スポンサードリンク