遺族共済年金不支給処分取消請求事件

(平成17年4月21日最高裁)

事件番号  平成16(行ヒ)332

 

この裁判は、

私立学校教職員共済法に基づく退職共済年金の受給権者であった男性が

死亡した場合に同法に基づく遺族共済年金の支給を受けるべき

配偶者に当たるのは法律上の妻ではなく内縁関係にあった

女性であるとされた事例です。

 

最高裁判所の見解

本件は,私立学校教職員共済法に基づく

私立学校教職員共済制度の加入者で,

同法に基づく退職共済年金の受給権者であった甲(以下「甲」という。)が

死亡したことから,甲と内縁関係にあった被上告人が

上告人に遺族共済年金の支給を請求したのに対し,

上告人が被上告人に遺族共済年金を支給しない旨の裁定をしたため,

被上告人が上告人に対してその取消しを請求した事案である。

 

本件の主要な争点は,遺族共済年金の支給を

受けることができる遺族である配偶者が被上告人であるのか,

それとも,甲の法律上の妻であった

上告補助参加人(以下「参加人」という。)

であるのかということである。

 

原審の適法に確定した事実によれば,

①甲と参加人は,甲が勤務していた国立大学の宿舎で同居していたが,

昭和53年ないし55年ころから甲が

宿舎を出て別居して生活するようになり,

甲が死亡した平成13年1月12日まで

20年以上の長期にわたり別居を続けた,

②その間,両者の間には反復,継続的な交渉はなく,

甲が宿舎料を負担していたほかは一方が

他方の生活費を負担することもなかった,

③甲と参加人は,両者の婚姻関係を修復しようとする努力はせず,

昭和57年夏ころ以降は会うこともなかった,

④甲は,参加人に対し,平成元年12月22日,

1000万円を送金したが,これには,

甲の勤務していた国立大学の宿舎から円満に

転居してもらう費用を支払う趣旨のほか,

甲と参加人との間の婚姻関係を清算するための

金員を支払う趣旨も含まれていた,

⑤他方,被上告人は,甲が参加人と別居するようになった後に

甲と親密な関係になり,昭和59年ころから甲と同居して

夫婦同然の生活をするようになって,

甲の収入により生計を維持していた,

⑥甲が死亡した際も,被上告人が最期までその看護をした,

というのである。

 

このような事実関係の下では,甲と参加人の婚姻関係は実体を失って

修復の余地がないまでに形がい化していたものというべきであり,

他方,被上告人は,甲との間で婚姻の届出をしていないが

事実上婚姻関係と同様の事情にある者というべきであるから,

参加人は私立学校教職員共済法25条において

準用する国家公務員共済組合法2条1項3号所定の遺族として

遺族共済年金の支給を受けるべき「配偶者」に当たらず,

被上告人がこれに当たるとした原審の判断は,

正当として是認することができる。

論旨は採用することができない。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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