遺産分割審判等に対する抗告却下決定に対する許可抗告事件

(平成15年11月13日最高裁)

事件番号  平成15(許)21

 

最高裁判所の見解

相続人は,遺産の分割の審判に対して即時抗告をすることができ,

その期間は,相続人が当該審判の告知を受けた日から

2週間と定められている(家事審判法14条,家事審判規則17条,111条)。

 

相続人は,各自が単独で即時抗告をすることができるが,

遺産の分割の審判は,相続人の全員について

合一にのみ確定すべきものであるから,

相続人の1人がした即時抗告の効果は,他の相続人にも及ぶものであり,

相続人ごとに審判の告知を受けた日が異なるときは,そのうちの最も遅い日から

2週間が経過するまでの間は,

当該審判は確定しないものと解される。

 

そして,遺産の分割の審判の合一確定のためには,

当該審判の確定について上記のように解すれば足りること,

各相続人は,それぞれ告知を受けることによって当該審判の内容を了知し,

各自の即時抗告期間内において即時抗告をするかどうかの判断を

することができること等にかんがみると,

各相続人への審判の告知の日が異なる場合における

遺産の分割の審判に対する即時抗告期間については,

相続人ごとに各自が審判の告知を受けた日から

進行すると解するのが相当である。

 

そうすると,相続人は,自らが審判の告知を受けた日から

2週間を経過したときは,もはや即時抗告をすることは

許されないというべきである。

 

また,寄与分を定める審判に対する

即時抗告(家事審判規則103条の5)に

ついても,上記遺産の分割の審判に対する即時抗告の場合と

同様に解すべきである。 以上と同旨の原審の前記2(1)の判断は,

正当として是認することができる。

この点に関する論旨は採用することができない。

 

(2)相続人ごとに審判の告知の日が異なる場合における

遺産の分割の審判等に対する即時抗告期間については,

上記のとおりに解すべきものであるから,

本件即時抗告は,即時抗告期間が経過した後にされたものであることは明らかである。

 

しかしながら,この場合における即時抗告期間に関しては,

先例となるべき当裁判所の判例はなく,記録によれば,

家庭裁判所における実務においては,

告知を受けた日のうち最も遅い日から全員について

一律に進行すると解する見解及びこれに基づく

取扱いも相当広く行われており,

本件においても,抗告人が本件審判の告知の日がいつであるかを

原々審に問い合わせた際に,担当の裁判所書記官は,

平成14年4月8日に相続人全員に対する告知が完了した旨の

上記の実務上の取扱いを前提とする趣旨の回答をしていること,

抗告人は,この回答に基づき,その日から2週間以内である

同月22日に本件即時抗告をしたことが認められる。

 

本件におけるこれらの事情を考慮すると,抗告人は,

その責めに帰することのできない事由により

即時抗告期間を遵守することができなかったものと認めるのが

相当であり,本件即時抗告が即時抗告期間を徒過した

不適法なものとみることはできないというべきである

(家事審判法7条,非訟事件手続法22条前段)。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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