都税還付加算金還付請求事件

(平成20年10月24日最高裁)

事件番号  平成19(行ヒ)285

 

この裁判は、

法人税の決定を受けた法人が都民税の

申告納付をした後に法人税の減額更正がされ,

これに伴い都民税の法人税割額について

減額更正がされたことにより

過納金が生じた場合において,その還付に際して加算すべき

還付加算金の算定の起算日が,

地方税法(平成14年法律第80号による改正前のもの)

17条の4第1項1号の場合と同様に,

納付の日の翌日であるとされた事例です。

 

最高裁判所の見解

(1) 法17条の4第1項及び施行令6条の15第1項は,

不当利得の法理を踏まえ,過納に係る地方税の額が

地方団体の更正,決定等により確定したものである場合には

その納付又は納入があった日の翌日から,

納税者の申告によって確定したものである場合には,

原則として,減額更正があった日の翌日から

起算して1か月を経過する日の翌日から,

それぞれ還付加算金を加算することとしている。

 

ただし,過納に係る地方税の額が義務修正申告

(法人税に係る更正又は決定によって納付すべき

法人税額を課税標準として算定した法人税割額に係るものに限る。

以下この項において同じ。)により確定したものである場合,

その還付加算金の起算日については,

地方団体の更正,決定等により確定した場合と同列に扱うこととしている。

 

これは,義務修正申告が法人税の更正,

決定に伴って義務的に行われるものであり,

過納となったことにつき納税者に帰責事由があるとはいえないこと,

この場合に,税額の確定が申告によりされているとして,

減額更正があった日の翌日から起算して1か月を経過する日の翌日からしか

還付加算金を加算しないこととすると,

義務修正申告を怠ったために増額更正を受けた場合には

納付又は納入があった日の翌日から還付加算金が加算されることと比べて,

不合理な結果が生ずることを考慮したものである。

 

(2) 前記事実関係等によれば,麹町税務署長は,

上告人の東京連絡事務所を恒久的施設と認定した上,

その法人税額を具体的に確定させる

本件法人税決定を行ったというのであるから,

都民税の法人税割の課税標準である法人税額は,

権限ある国税官署により一応有効に

確定された状態にあったということができる。

 

そして,処分庁は,上告人が本件法人税決定により

確定された法人税額に従って都民税の申告納付を行えば,

これをそのまま是認することになるが,

上記法人税額と異なる内容の申告がされた場合には,

上記法人税額に従った更正をすることとなり

(法55条1項,321条の11第1項参照),また,

都民税の申告が行われなかった場合には,

上記法人税額に従った都民税の決定をすることとなる

(法55条2項,321条の11第2項参照)。

 

ところで,本件申告は,都民税について先行する

税額確定行為が存在しないため,法53条10項又は

法321条の8第10項所定の義務修正申告に当たるということはできず,

本件法人税決定を受けた上告人が,これらの条項に基づき,

都民税の申告納付をすべき義務はなかったものである。

 

しかしながら,本件申告は,それ自体は法令により

義務付けられたものではなかったとしても,

本件法人税決定を受けたことを契機として,

法の定めに従い同決定により確定した法人税額を

課税標準として行われたものであり,

上告人が自らの計算により法人税額及び法人税割額を

算出したものではなかったのであるから,

本件申告により確定した法人税割額が過納となったことにつき,

上告人に帰責事由があるということはできない。

 

また,この場合に還付加算金の起算日を

納付の日の翌日であると解さないとすると,

本件法人税決定に従って都民税の申告納付をした場合の方が,

申告納付の措置を採らずに放置して

都民税について決定を受けた場合に比べ,

還付加算金の算定において著しい不利益を受けるという

不合理な結果を生ずることとなる。

 

以上のような事情にかんがみると,

本件過納金の還付に際しては,

法17条の4第1項1号の趣旨に照らして,

同号の場合と同様に,納付の日の翌日から

還付加算金を加算すべきものと解するのが相当である。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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