金融商品取引法21条の2第3項にいう「当該提出者の業務若しくは財産に関し法令に基づく権限を有する者」

(平成24年3月13日最高裁)

事件番号  平成22(受)755

 

この裁判では、

金商法21条の2第2項にいう「公表」、

検察官は金融商品取引法21条の2第3項にいう

「当該提出者の業務若しくは財産に関し法令に基づく権限を有する者」

に当たるかについて裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

4 金商法21条の2第2項にいう「公表」について

(1) 論旨は,金商法21条の2第2項にいう「虚偽記載等の事実の公表」とは,

有価証券報告書等の「虚偽記載等に係る記載すべき重要な事項」(同条3項),

すなわち有価証券報告書等に本来記載すべきであった

真実の情報を開示することをいうものと解すべきであるのに,

本件検察官による本件開示では,本件有価証券報告書に記載すべきであった

約3億円の経常赤字という真実の情報が開示されていないにもかかわらず,

本件開示をもって「虚偽記載等の事実の公表」があったとした

原審の判断には,同条2項,3項の

解釈適用を誤る違法があるというのである。

 

(2) 検察官は,有価証券報告書等の虚偽記載等の犯罪につき

刑訴法に基づく種々の捜査権限を有しており,

その権限に基づき,有価証券報告書等の虚偽記載等を

訂正する情報や有価証券報告書等に記載すべき正確な情報を

入手することができるのであって,

その情報には類型的に高い信頼性が認められる。

 

したがって,検察官は,金商法21条の2第3項にいう

「当該提出者の業務若しくは財産に関し法令に基づく権限を有する者」

に当たるというべきである。

 

そして,金商法21条の2第2項にいう「虚偽記載等の事実の公表」とは,

有価証券報告書等の「虚偽記載等に係る記載すべき重要な事項」について,

多数の者の知り得る状態に置く措置がとられたことをいうのであって(同条3項),

その文理からすれば,「虚偽記載等の事実の公表」があったというためには,

単に当該有価証券報告書等に虚偽記載等が存在しているとの点についてのみ

上記措置がとられたのでは足りないことは明らかであるが,

有価証券報告書等に記載すべき真実の情報につき

上記措置がとられたことまでも要すると解すべきものではない。

 

なぜなら,取引所市場の評価の誤りを

明らかにするに足りる情報が開示され,

その結果当該有価証券が大きく値下がりしたにもかかわらず,

真実の情報が明らかにされないことをもって「公表」がないものとし,

同条2項の推定規定を適用することが

できないのでは投資者の保護に欠け,相当ではないからである。

 

むしろ,同項が「公表」をもって損害の額を推定する基準時としたのは,

信頼性の高い情報を入手することのできる主体が「公表」をすることによって,

当該有価証券に対する取引所市場の評価の誤りが明らかになることが

通常期待できるという趣旨によるものであると解され,また,

評価が誤っていたかどうかは,当該「公表」の時点で

既に明らかになっている事実を考慮に入れて

判断されるべきことであるから,

同条3項にいう「虚偽記載等に係る記載すべき重要な事項」について

多数の者の知り得る状態に置く措置がとられたというためには,

虚偽記載等のある有価証券報告書等の提出者等を発行者とする

有価証券に対する取引所市場の評価の誤りを明らかにするに足りる

基本的事実について上記措置がとられれば足りると

解するのが相当である。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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