銀行口座の開設と詐欺罪

( 平成19年7月17日最高裁)

事件番号  平成18(あ)2319

 

この裁判では、

預金通帳等を第三者に譲渡する意図を秘して銀行の行員に

自己名義の預金口座の開設等を申し込み預金通帳等の交付を受ける行為は,

刑法246条1項の詐欺罪に当たるかについて

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

(1) 被告人は,第三者に譲渡する預金通帳及びキャッシュカードを入手するため,

友人のAと意思を通じ,平成15年12月9日から

平成16年1月7日までの間,前後5回にわたり,

いずれも,Aにおいて,五つの銀行支店の行員らに対し,

真実は,自己名義の預金口座開設後,

同口座に係る自己名義の預金通帳及びキャッシュカードを

第三者に譲渡する意図であるのにこれを秘し,

自己名義の普通預金口座の開設並びに同口座開設に伴う

自己名義の預金通帳及びキャッシュカードの交付方を申し込み,

上記行員らをして,Aが,各銀行の総合口座取引規定ないし

普通預金規定等に従い,上記預金通帳等を第三者に譲渡することなく

利用するものと誤信させ,各銀行の行員らから,それぞれ,

A名義の預金口座開設に伴う同人名義の

普通預金通帳1通及びキャッシュカード1枚の交付を受けた。

 

(2) 被告人は,A及びBと意思を通じ,

平成17年2月17日,Bにおいて,

上記(1)と同様に,銀行支店の行員に対し,

自己名義の普通預金口座の開設等を申し込み,

B名義の預金口座開設に伴う同人名義の

普通預金通帳1通及びキャッシュカード1枚の交付を受けた。

 

(3) 上記各銀行においては,いずれもA又はBによる

各預金口座開設等の申込み当時,契約者に対して,

総合口座取引規定ないし普通預金規定,キャッシュカード規定等により,

預金契約に関する一切の権利,通帳,キャッシュカードを名義人以外の

第三者に譲渡,質入れ又は利用させるなどすることを禁止していた。

 

また,A又はBに応対した各行員は,

第三者に譲渡する目的で預金口座の開設や預金通帳,

キャッシュカードの交付を申し込んでいることが分かれば,

預金口座の開設や,預金通帳及びキャッシュカードの

交付に応じることはなかった。

 

以上のような事実関係の下においては,

銀行支店の行員に対し預金口座の開設等を申し込むこと自体,

申し込んだ本人がこれを自分自身で利用する

意思であることを表しているというべきであるから,

預金通帳及びキャッシュカードを第三者に譲渡する意図であるのに

これを秘して上記申込みを行う行為は,詐欺罪にいう

人を欺く行為にほかならず,これにより預金通帳及び

キャッシュカードの交付を受けた行為が

刑法246条1項の詐欺罪を構成することは明らかである。

 

被告人の本件各行為が詐欺罪の共謀共同正犯に当たるとした

第1審判決を是認した原判断に誤りはない。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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