銀行法2条2項2号にいう「為替取引を行うこと」の意義
(平成13年3月12日最高裁)
事件番号 平成12(あ)873
最高裁判所の見解
原判決の認定によれば,
被告人株式会社A(以下「被告会社」という。)の
代表取締役である被告人Bは,被告会社の業務に関し,
本邦内にある送金依頼人らから,
大韓民国内にある受取人らへの送金の依頼を受け,
送金資金として本邦通貨を受領した上,
直接現金を大韓民国内に輸送せずに,同国在住の共犯者Cに対し,
ファクシミリで送金依頼人の氏名,送金受任額,
送金先銀行口座等を連絡して支払方を指図し,
同国内の被告会社に帰属する銀行口座の資金を用いて
送金依頼人の指定する受取人名義の銀行口座等に
送金受任額相当額を同国通貨で入金させたというのである。
銀行法2条2項2号は,
それを行う営業が銀行業に当たる行為の一つとして
「為替取引を行うこと」を掲げているところ,
同号にいう「為替取引を行うこと」とは,顧客から,
隔地者間で直接現金を輸送せずに資金を移動する仕組みを
利用して資金を移動することを内容とする依頼を受けて,
これを引き受けること,又はこれを引き受けて
遂行することをいうと解するのが相当である。
したがって,被告人Bの上記各行為が同号にいう
「為替取引を行うこと」に当たるとして被告人両名に
無免許銀行業の罪の成立を認めた原判決の判断は,正当である。
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