障害基礎年金不支給決定取消等請求事件

(平成19年10月9日最高裁)

事件番号  平成18(行ツ)227

 

この裁判では、

立法府が,国民年金法(平成元年法律第86号による改正前のもの)において,

同法所定の学生等につき国民年金の強制加入被保険者とせず,

任意加入のみを認め,強制加入被保険者との間で加入及び

保険料免除規定の適用に関し区別したこと,及び上記改正前に

上記学生等を強制加入被保険者とするなどの

措置を講じなかったことと憲法25条,14条1項について

裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

国民年金法30条の4は,

傷病の初診日において20歳未満であった者が,

障害認定日以後の20歳に達した日において

所定の障害の状態にあるとき等には,

その者(以下「20歳前障害者」という。)に対し,

障害の状態の程度に応じて,

いわゆる無拠出制の障害基礎年金を支給する旨を定めている。

 

国民年金の被保険者資格を取得する年齢である20歳に達する前に

疾病にかかり又は負傷し,これによって

重い障害の状態にあることとなった者については,

その後の稼得能力の回復がほとんど期待できず,

所得保障の必要性が高いが,保険原則の下では,

このような者は,原則として,給付を受けることができない。

 

法30条の4所定の障害基礎年金は,

このような者にも一定の範囲で国民年金制度の保障する利益を享受させるべく,

同制度が基本とする拠出制の年金を補完する

趣旨で設けられた無拠出制の年金給付である。

 

2 無拠出制の年金給付の実現は,

国民年金事業の財政及び国の財政事情に

左右されるところが大きいこと等にかんがみると,

立法府は,保険方式を基本とする国民年金制度において

補完的に無拠出制の年金を設けるかどうか,

その受給権者の範囲,支給要件等をどうするかの決定について,

拠出制の年金の場合に比べて更に広範な裁量を有しているというべきである。

 

また,20歳前障害者は,傷病により障害の状態にあることとなり

稼得能力,保険料負担能力が失われ又は著しく低下する前は,

20歳未満であったため任意加入も含めおよそ

国民年金の被保険者となることのできない地位にあったのに対し,

初診日において20歳以上の学生である者は,

傷病により障害の状態にあることとなる前に任意加入によって

国民年金の被保険者となる機会を付与されていたものである。

 

これに加えて,前記のとおり,障害者基本法,生活保護法等による

諸施策が講じられていること等をも勘案すると,

平成元年改正前の法の下において,

傷病により障害の状態にあることとなったが初診日において

20歳以上の学生であり国民年金に任意加入していなかったために

法30条による障害基礎年金を受給することができない者に対し,

無拠出制の年金を支給する旨の規定を設けるなどの

所論の措置を講ずるかどうかは,

立法府の裁量の範囲に属する事柄というべきであって,

そのような立法措置を講じなかったことが,

著しく合理性を欠くということはできない。

 

また,無拠出制の年金の受給に関し上記のような

20歳以上の学生と20歳前障害者との間に差異が生じるとしても,

両者の取扱いの区別が,何ら合理的理由のない

不当な差別的取扱いであるということもできない。

 

そうすると,上記の立法不作為が憲法25条,

14条1項に違反するということはできない。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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