非開示情報

(平成16年2月24日最高裁)

事件番号  平成11(行ツ)251

 

最高裁判所の見解

(1) 本件条例8条2号本文にいう「個人に関する情報」は,

事業を営む個人の当該事業に関する情報が除外されている以外には

文言上何ら限定されていないから,個人にかかわりのある情報であって,

特定の個人が識別され,又は識別され得るものは,

原則として,同号所定の非開示情報に該当するというべきである。

 

もっとも,同条3号が法人(国及び地方公共団体を除く。)

その他の団体(以下「法人等」という。)に関する情報及び

事業を営む個人の当該事業に関する情報について,

個人に関する情報と異なる類型の情報として

非開示事由を規定していることに照らせば,

本件条例においては,法人等の代表者又はこれに準ずる地位にある者が

当該法人等の職務として行う行為など当該法人等の

行為そのものと評価される行為に関する情報については,

専ら法人等に関する情報としての非開示事由が

規定されていると解するのが相当であり,

同条2号所定の非開示情報には該当しないというべきである。

 

また,本件条例の趣旨,目的に照らせば,

公務員の職務の遂行に関する情報は,

公務員個人の私事に関する情報が含まれる場合を除き,

公務員個人が同号本文にいう「個人」に当たることを

理由に同号所定の非開示情報に

該当するとはいえないと解するのが相当である

(最高裁平成10年(行ヒ)第54号同15年11月11日

第三小法廷判決・民集57巻10号登載予定

〔編注:民集57巻10号1387頁〕参照)。

 

(2) これを本件についてみると,本件出席者名簿には出席者として

相手方及び県職員の所属,職及び氏名が

記載されているというのであるから,本件非開示部分に係る情報は,

特定の個人が識別され,又は識別され得るものである。

 

しかしながら,本件出席者名簿に係る懇談会等は,

県の食糧費が支出されたものであって,

いずれも県の行政事務又は事業の施行のために行われたものと

みることができるものであるから,その懇談会等に出席した県職員は,

その公務の遂行として出席したものということができる。

 

そして,本件出席者名簿には,当該県職員個人の私事に関する情報が

含まれているものとは認められないから,

本件非開示部分のうち県職員に関する部分に係る情報は,

本件条例8条2号所定の非開示情報に該当しないというべきである。

 

本件出席者名簿に係る懇談会等の出席者に

県職員以外の公務員が含まれているかどうかは原審によって

確定されていないが,同懇談会等が食糧費を支出して

開催されたものであることからすると,

出席者に県職員以外の公務員が含まれていた蓋然性は高いと考えられる。

 

そして,出席者が県職員以外の公務員である場合においても,

当該出席者がその公務の遂行として懇談会等に出席したのであれば,

その出席者に関する情報は,同号所定の

非開示情報に該当しないというべきである。

 

これに対し,本件出席者名簿に係る懇談会等の

出席者が公務員以外の者である場合には,

その出席した行為が法人等の行為そのものと評価される場合を除き,

その出席者に関する情報は,原則として,

同号所定の非開示情報に該当するというべきである。

 

(3) ところで,本件条例8条2号ただし書は,

同号所定の非開示情報から除外される情報を規定しているが,

同号ただし書イの「実施機関が公表を目的として作成し,

又は取得した情報」とは,本件条例の目的,趣旨からすれば,

実施機関が公表することを直接の目的として作成し,

又は取得した情報に限られず,公表することが

本来予定されているものをも含むものと解される。

 

しかしながら,本件出席者名簿に係る懇談会等の

県職員以外の出席者に関する情報のすべてにつき,

食糧費が行政事務又は事業の執行上直接的に費消されるものであり,かつ,

本件において開示を求められている各文書からの情報では

具体的な懇談の内容は明らかにはならず,

出席者個人のプライバシー等の権利利益の侵害が

生じる可能性が少ないことなどを理由に,

公表することが本来予定されていたということは困難であり,

また,これらの情報が同号ただし書ア又は

ウ所定の情報に該当すると認めることもできないから,

本件非開示部分のうち県職員以外の出席者に関する部分に係る情報につき,

同号ただし書所定の情報に当たることを理由として

同号所定の非開示情報に該当しないということはできない。

 

(4) そうすると,本件非開示部分のうち

県職員に関する部分に係る情報は本件条例8条2号所定の

非開示情報に該当しないというべきであるが,

本件非開示部分のうち県職員以外の出席者に関する部分に係る情報については,

当該出席者が公務員であってその公務の遂行として

懇談会等に出席したものであるのかどうか,

当該出席者が公務員でない場合には,懇談会等に出席した行為が

法人等の行為そのものと評価されるものであるのかどうかについて

事実を確定しなければ,同号所定の非開示情報該当性について

判断することはできないというべきである。

 

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