高等裁判所のした保全抗告についての決定と許可抗告の対象
(平成11年3月12日最高裁)
事件番号 平成10(ク)699
最高裁判所の見解
民事事件について特別抗告をすることが許されるのは、
民訴法三三六条一項所定の場合に限られるところ、
本件抗告理由は、違憲をいうが、その実質は
原決定の単なる法令違反を主張するものであって、
同項に規定する事由に該当しない。
なお、民訴法三三七条に規定する許可抗告制度は、
法令解釈の統一を図ることを目的として、
高等裁判所の決定及び命令のうち一定のものに対し、
法令の解釈に関する重要な事項が含まれる場合に、
高等裁判所の許可決定により、最高裁判所に
特に抗告をすることができることとしたものであり
(最高裁平成一〇年(ク)第三七九号同年七月一三日第三小法廷決定・
裁判集民事一八九号登載予定参照)、最高裁判所への
上訴制限に対する例外規定である。
高等裁判所のした保全抗告についての
決定に法令の解釈に関する重要な事項が含まれ、
法令解釈の統一を図る必要性が高いことは、
執行抗告等についての決定と同様であるから、
許可抗告制度の前記立法趣旨に照らせば、
同条一項ただし書は、高等裁判所のした保全抗告についての決定を
許可抗告の対象から除外する趣旨の規定ではないと解するのが相当である。
この点についての原審の判断は、
法令の解釈を誤ったものというべきであるが、
原決定に憲法の違反があるとはいえない。
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