高速走行抑止システムによる速度測定結果の正確性

(平成19年4月23日最高裁)

事件番号  平成18(あ)726

 

この裁判は、

高速走行抑止システムによる速度測定結果の正確性について

検察官に釈明を求めたり追加立証を促すなどすることなく

証明が十分でないとした原判決を審理を尽くさず

事実を誤認した疑いがあるとして破棄差し戻した事例です。

 

最高裁判所の見解

記録に照らすと,本件では,

第1審公判で取り調べられた本件装置の取扱説明書や

証人の供述等の証拠により,本件装置による速度測定の正確度につき

プラス誤差は生じないことが一応立証されており,

被告人側から,これに疑いを入れるような

特段の具体的主張,立証は全く示されていない。

 

それにもかかわらず,原判決は,上記のとおり,

取扱説明書の記載や証人の供述を根拠付ける客観的資料がないとして,

プラス誤差が生じないことについての

証明が十分でないと判断したものである。

 

しかし,第1審公判における検察官の立証の程度は

上記のとおりであるから,このような場合,原審裁判所において,

検察官の立証がなお不十分であると考えるなら,

検察官に対して,プラス誤差が生じないことを

客観的に裏付ける資料を追加して

証拠調べを請求するかどうかにつき釈明を求め,

必要に応じその請求を促すなどして,

更に審理を尽くした上で判決すべきであった。

 

殊に本件においては,第1審公判で証人がプラス誤差が

出ないことを説明資料で確認したと供述している事情があり,

原判決もそのことを指摘しているのであるから,

少なくともその資料について

追加立証を促すことは容易に行い得たはずである。

 

しかるに,原判決は,検察官に追加立証を促すなどすることなく

直ちに判決を言い渡して第1審判決を破棄した上,

上記客観的資料の存否,内容等について更に審理を

尽くさせるため事件を差し戻すこともせずに,

犯罪事実が認められないことを前提として公訴棄却の自判をしたものである。

原判決がこのような措置に出た理由として挙げるところは,

いずれもその判断を是認する根拠とはなり得ない。

 

そうすると,原判決は,審理を尽くさず事実を誤認した疑いがあり,

破棄しなければ著しく正義に反するものと認められる。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

判例をわかりやすく解説コーナー


スポンサードリンク