8人強盗殺人事件

(平成6年1月17日最高裁)

事件番号  昭和63(あ)352

 

最高裁判所の見解

被告人本人の上告趣意のうち、憲法違反をいう点は、

現行の死刑制度がその執行方法を含め

憲法三一条に違反しないことは前示のとおりであるから、

所論は理由がなく、その余の点は、

単なる法令違反、事実誤認の主張であって、

適法な上告理由に当たらない。

 

なお、所論にかんがみ記録を調査しても、

刑訴法四一一条を適用すべきものとは認められない

(本件のうち、「第一審判決判示第一の事案は、被告人が、

昭和四七年九月から同五五年七月までの間に、

虚栄心と分不相応な欲求を満たすため金品を

奪取することを企て、女性の部屋に忍び込み、

あるいは帰宅途中の女性を待ち伏せするなどして

女性五名を次々に絞殺して金品を強取し、さらに、

強盗の用に供する散弾銃や犯行の足とする

自動車等を窃取した上、右散弾銃を用いて

金融機関職員等を襲って金品を強取し、その際、

二名を射殺するなどしたという

強盗殺人七件(うち一件は強盗強姦を含む。)、

強盗一件、窃盗六件、銃砲及び実包の所持各一件に

及ぶ極めて凶悪な事犯であって、

七人の尊い生命を次々に奪い去った結果の重大性は

いうまでもないところであり、

被告人の罪責は極めて重大といわざるを得ない。

 

また、第一審判決判示第二の事案は、被告人が、

昭和五六年一月、右各犯行後に犯した窃盗罪により

執行猶予付きの懲役刑の判決を受けた後、

昭和五七年八月から同五八年一月までの間に、

金品を強奪するため通行人に自動車を衝突させて

重傷を負わせたり、犯行の用に供するけん銃の奪取を企て、

周到な計画の下に派出所勤務の警察官を言葉巧みにおびき出し、

自動車を衝突させた上、鉄棒で殴打し、

警察官に重傷を負わせてけん銃と実包を強奪し、さらに、

これを用いて連続的に強盗や殺人の事犯を敢行したという殺人一件、

強盗殺人未遂一件、強盗致傷三件、強盗一件、

強盗未遂一件、窃盗四件、銃砲及び実包の所持各一件等に及ぶ

凶悪、危険な事犯である。

 

しかも、被告人は、前記第一の重大事犯を重ねた後、

右のように刑の執行を猶予されたにもかかわらず、

何ら反省悔悟することなく、物欲の赴くまま

その執行猶予期間中に再び犯行に及び、

わずか五か月余の間に、関西地区から東海地区に至る広域において、

前記第二の重大事犯を累行し、一人の尊い生命を奪ったほか、

被害者らに多大の恐怖と苦痛を与えたのみならず、

社会に重大かつ深刻な不安を醸成するに至ったものであり、

犯行の態様も、計画的で凶悪、冷酷、残忍というほかなく、

特に、殺人の犯行は、抵抗をやめていた被害者の右胸部を至近距離から

けん銃を発射して殺害したものであり、また、

強盗殺人未遂の犯行にしても、数メートルの距離から

被害者に向けてけん銃を発射したが、弾丸が

たまたま被害者の胸ポケットに入っていたライターに当たって

急所をそれたため致命傷を与えるに

至らなかったというにすぎないものであって、

そこには人命に対する尊重の念を全くうかがうことができず、

その犯行の罪質、動機、態様、結果に照らすと、

被告人の罪責は誠に重大というほかはない。

 

そうすると、前記第一の強盗殺人の各犯行が

被告人の自首を契機に捜査機関に発覚するに至った経緯、現在では

自己の犯した罪の重大性を自覚し深く悔悟していることなど

被告人のために酌むべき事情を考慮しても、

前記第一、第二の各事犯についていずれも被告人を

死刑に処した第一審判決の科刑を原判決が維持したのは、

やむを得ないものとして当裁判所もこれを是認せざるを得ない。)。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

判例をわかりやすく解説コーナー


スポンサードリンク