JR下関駅無差別殺傷事件

(平成20年7月11日最高裁)

事件番号  平成17(あ)1622

 

最高裁判所の見解

本件は,次のような無差別大量殺人等の事案である。

 

すなわち,被告人は,自己の将来に失望して自暴自棄となり,

自殺を考えたが,自分をそのような状況に陥れたのは

社会や両親らであるとして,これに衝撃を与えるため,

多数人を道連れにする無差別大量殺人を企てた。

 

そして,山口県下関市所在のJR下関駅前の歩道上や

同駅コンコース内に普通乗用自動車を運転して進入し,

いずれも確定的殺意をもって通行人等7名に相次いで同車を衝突させ,

うち2名を殺害し,5名に重軽傷を負わせた。

 

さらに,被告人は,同車を降り,あらかじめ準備していた包丁を持って

改札口を通り抜け,階段やホーム上において,

列車待ちなどをしていた8名に対し,

いずれも確定的殺意をもって上記包丁で

刺したり切り付けたりするなどし,

うち3名を殺害し,5名に重軽傷を負わせた。

 

周到な準備の下,確定的殺意に基づき,

何一つ落ち度のない通行人や駅利用者等を

無差別に襲った犯行の罪質は,極めて悪質である。

 

犯行動機及び犯行に至る経緯に酌量の余地は見いだし得ず,

犯行態様も残虐,非情というほかはない。

 

5名もの尊い生命を奪った結果は,極めて重大であり,

通り魔的な大量殺人事件として本件が社会に与えた衝撃は大きく,

各遺族の処罰感情もしゅん烈である。

 

以上のような事情に照らすと,被告人の刑事責任は,

極めて重大であるといわざるを得ず,

被告人が対人恐怖症等に悩んできたこと,前科がないことなど,

被告人のために酌むべき事情を十分考慮しても,

原判決が維持した第1審判決の死刑の科刑は,

当裁判所もこれを是認せざるを得ない。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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