殺人罪等による無期懲役刑の仮出獄中の殺人等事件

(平成19年11月30日最高裁)

事件番号  平成16(あ)659

 

最高裁判所の見解

本件は,殺人罪等により無期懲役刑に処せられ,

その仮出獄中の被告人が,知人の女性(当時57歳)を殺害して,

その死体を川岸の竹やぶ内に遺棄したという殺人,

死体遺棄の事案である。殺人の犯行は,

多額の金銭を貸し付けていた被害者に,

その清算を求めたところ,開き直りの態度を示されたことに激高し,

被告人方から帰ろうとした被害者の背後から両手でけい部を締め付け,

電気ポットのコードをけい部に巻き付けて緊縛し,

さらに転倒した被害者に馬乗りになって

そのけい部を両手で締め付けるなどして殺害したものであり,

その態様は,無防備な被害者をいきなり襲った強固な殺意に基づく

執ようかつ冷酷なものである。犯行後には,

死体や所持品をレンタカーで人目に付かない場所まで運んで投棄するなどの

隠ぺい工作も行っている。

 

被害者からの金の無心に応じるため

相当額の借金を負うに至っていた

被告人に対する被害者の態度には誠実さに

欠けるところがあったといわざるを得ないものの,

本件は被告人において被害者に対する未練から

金策ができるとうそを言ったことをきっかけとするものであり,

もとより被害者に殺害されるべき事情などはなく,

その貴重な一命を奪った本件の結果は重大であり,

遺族らの処罰感情も厳しい。

 

その上,被告人は,昭和52年と昭和54年に,

いずれも当時交際中の女性を金銭問題に絡んで激情に駆られて殺害し,

死体を川原に遺棄するという事件を繰り返して,

無期懲役刑に処せられ,20年近く服役したにもかかわらず,

仮出獄から約1年9か月で,類似した経緯,

態様の本件各犯行に及んでおり,

この種事犯を繰り返す犯罪性には根強いものがあり,

犯情は極めて悪い。

 

以上のような諸事情に照らすと,

被告人が反省悔悟の情を示していることなど,

被告人のために酌むことができる事情を十分考慮しても,

被告人の刑事責任は極めて重大であり,

被告人を死刑に処した第1審判決の量刑を維持した原判断は,

やむを得ないものとして当裁判所もこれを是認せざるを得ない。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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