麻薬及び向精神薬取締法違反,関税法違反被告事件

(平成15年10月28日最高裁)

事件番号  平成14(あ)827

 

最高裁判所の見解

麻薬特例法2条3項において薬物犯罪収益とされる

「薬物犯罪の犯罪行為により得た財産」とは,

薬物犯罪の構成要件に該当する行為自体によって

犯人が取得した財産をいうものと解するのが相当であり,

薬物犯罪を遂行する過程において費消・使用されるものとして,

犯人が他の共犯者から交付を受けた財産は,

これに当たらないものと解すべきである

(最高裁平成13年(あ)第1683号同15年4月11日

第二小法廷判決・刑集57巻4号403頁,

最高裁平成13年(あ)第1267号

同15年4月11日第二小法廷判決・

裁判集刑事284号登載予定参照)。

 

そして,本件で被告人から押収された復路航空券は,

刑法19条1項2号の「犯罪行為の用に供し,又は供しようとした物」に

当たると認めるのが相当であり,被告人から押収された600ドルは,

受交付者において薬物犯罪の犯罪行為を遂行するために費消した上,

その残額を同行為の報酬として取得することとして,

共犯者から交付を受けて犯人が所有する金員であると認められるから,

裁判所は,麻薬特例法11条1項及び刑法19条1項2号により,

その全額を没収することが可能であると解すべきである

(前記最高裁平成13年(あ)第1683号

同15年4月11日第二小法廷判決参照)。

 

そうすると,第1審判決は,上記各往復航空券及び現金600ドルの

没収・追徴に関して,法令の適用を誤った違法があるものといわざるを得ないところ,

このうち各復路航空券及び現金600ドルを没収した点は,

結論において是認できるが,共犯者から受領した

各往復航空券の使用済み往路航空券分の価額を追徴した点は,

追徴することができない場合に追徴したことになり,

その違法は,判決に影響を及ぼすことが明らかである。

 

したがって,この第1審判決を是認した原判決には,

判決に影響を及ぼすべき法令の違反があり,

これを破棄しなければ著しく正義に反するものと認められる。

 

・全文はこちら(裁判所ホームページの本裁判のページ)

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